岐阜地裁平成24年11月21日判決,助産師の過失を認め約1億2000万円の支払いを命じる(報道)
「岐阜県中津川市民病院で、女児(5)が仮死状態で生まれ、手足と呼吸器に障害が残ったのは病院の過失が原因として、両親らが同市を相手に計約1億8300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、岐阜地裁であった。鈴木正弘裁判長は「兆候に気付き、迅速に対応していれば後遺障害が残らなかった可能性が高い」として、同市に計約1億2000万円の賠償を命じた。
判決によると、2007年5月10日、出産直前の女児の心拍数に異常が見られ、低酸素状態の兆候があったのに、病院の助産師は医師に報告せず、母親に装着されていた心拍数を測る装置を取り外した。」
報道の件は私が担当したものではありません.
あってはいけないのですが,法律相談ではありがちな事案です.入院時,助産師が分娩監視装置を装着するのですが,記録を見ずにルーティーンで30分で外してしまう,ということもあります.もし分娩監視装置の記録を読む能力がなければ医師を呼ばなければいけません.
本件の助産師は,分娩監視装置の記録を診たのでしょうか.見た上で異常がないと判断したのでしょうか.
判決文を読みたい事案です.
【追記】
毎日新聞「中津川市民病院の医療過誤:市が控訴 /岐阜」(2012年12月5日)は,次のとおり報じました.
「中津川市民病院で07年5月に起きた新生児に対する医療事故を巡る裁判で、病院に注意義務違反があったとして市に約1億2000万円の賠償を命じた先月21日の岐阜地裁の判決を不服として、市は4日、名古屋高裁に控訴した。
青山節児市長は「家族らには大変お気の毒な状況と思うが、病院長とも相談して控訴を決めた」とコメントした。
地裁判決によると、07年5月10日、市民病院で胎内にいた女児の心拍数に異常がみられ低酸素状態の可能性があったが、助産婦が継続的な監視や医師への連絡を怠り、女児は仮死状態で産まれた。女児には、意識障害など重い後遺症が残り、現在も寝たきりという。【小林哲夫】」
【再追記】
毎日新聞「中津川市民病院の医療過誤損賠訴訟:控訴審 両親らと和解 市、1億3000万円支払いへ」(2013年07月30日)は,次のとおり報じました.
「中津川市民病院で2007年5月に生まれた女児(6)に重い後遺症が残ったのは助産師が適切な処置をしなかったためだとして、女児と両親が市に損害賠償を求めた訴訟で、同病院は29日、両親らに1億3000万円を支払うことで和解したと発表した。岐阜地裁は昨年11月、賠償金約1億2000万円の支払いを命じ、市側が控訴していた。
1審判決によると、07年5月の出産時に胎児の心拍数に低下がみられたが、助産師は異常なしと判断し、心拍数の継続的な監視などを怠った結果、胎児は仮死状態で出生。低酸素脳症となり、現在も人工呼吸器を外せず、寝たきりの状態という。
控訴審で名古屋高裁は先月20日、市に1億3000万円で和解するよう勧告していた。
記者会見した安藤秀男院長は「医療過誤はなかったと考えているが、早期解決を望む家族の苦労を思うと裁判を続けるのは妥当でないと判断した」と述べた。青山節児市長は「これ以上裁判を続けることは本人、家族にも精神的、身体的負担をかけ、病院にも大きな影響を与えると考え、和解を受け入れることにした」とコメントした。【小林哲夫】」
谷直樹
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