大学病院,肝腎機能の異常値を確認しないまま抗がん剤を投与した事案を公表
「本院消化器・移植外科で抗がん剤治療を受けられていた患者さんが本年7月劇症肝炎による肝不全で亡くなられました。
事実詳細と対応について報告いたしますとともに、ご迷惑をおかけいたしましたことについてお詫び申し上げます。
患者さんは60歳代の男性で近医での内視鏡検査で腫瘤を認めたため、本院消化器・移植外科に紹介され消化器系の癌と診断されました。
腹腔鏡を用いた悪性腫瘍切除術を受けられ、退院後外来にて補助化学療法として標準的な抗がん剤内服治療がご本人に説明され同意のうえ開始されました。治療開始前及び第1コース途中の一般末梢血検査、生化学検査では異常はありませんでした。治療の第2コース開始のため受診された際に、予定に基づき一般末梢血検査、生化学検査が行われました。
担当医は一般末梢血検査で血小板の減少は確認しましたが、生化学検査で肝腎機能の異常値が出ていたにもかかわらず、これを確認しないまま抗がん剤を投与し、その後もこの結果が確認されることはありませんでした。
2週間後の受診予定日の朝、患者さんはご自宅で意識障害がある状態で発見され、本院に救急搬送されました。重度の肝腎機能障害があり集中治療を行いましたが、約2週間後、劇症肝炎による肝不全で亡くなられました。
ご家族には上記の経緯を逐一ご説明し、謝罪申し上げております。
本院では再入院の3日後に調査委員会の設置を決定し、計5回の委員会を開催いたしました。関係者に聴き取りを行うと供に、各種関係資料を基に事実関係を検証しました。その結果、当該薬剤としては異例ではありますが、その副作用の可能性が高いと考えました。また、第2コース開始の時点で抗がん剤治療を中止しても劇症化を防ぐことができたかどうかは不明ですが、継続して投与したことが患者さんの予後に影響を与えた可能性は否定できず、本院の責任は重大であると判断いたしました。
現在本院では、調査委員会から提案された改善策を各部署で実施し、その効果を検証しているところです。」
報道の件は私が担当したものではありません.
このように,医療事故を調査し公表することは,再発防止のためにとても大事なことだと思います.
谷直樹
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