厚生労働省令によるネット医薬品販売規制訴訟,来年1月11日最高裁で国の敗訴確定

最高裁第2小法廷(竹内行夫裁判長)は,インターネット販売訴訟で,弁論を開くことなく,判決期日を来年1月11日に指定しました.弁論を開かないのは,東京高裁平成24年4月26日判決を維持することを意味します.つまり,国の敗訴が確定します.
東京高裁平成24年4月26日判決は,2009年6月に施行された改正薬事法にネット販売規制の根拠となる委任の規定がない,第一類・第二類医薬品を郵便等販売により販売することを規制する厚生労働省令の部分は国家行政組織法12条3項に違反などとし,一般用医薬品をインターネット販売できる権利(地位)の確認を認めました.
裁判所は,国家行政組織法12条3項は,「省令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない。」と定めている以上,はっきりと委任していないと権利を規制することができないと考えたのでしょう.
一般用医薬品に本来必要であった薬剤師の配置が徹底されなかった現状を踏まえ,登録販売者という新資格を設け(ただし,不正が横行し問題が生じています.),消費者に対する情報提供を適切,実効的なものにしようという改正薬事法の趣旨からすれば,改正薬事法はネット販売規制を当然前提としていたと解釈すべきと私は考えます.私は国の主張を支持します.
医薬品は情報とともに流通しないと危険な商品ですので,医薬品のインターネット販売は,無制限に許されるものではありません.
他方,インターネットでの購入が必要な人もいますし,インターネット販売の利便性は否定できません.
そこで,最高裁の判断で法律の委任がないとされる以上,省令ではなく,法律によって適切な線引きを行うべきと考えます.
谷直樹
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