弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

細胞検査士会の会長・副会長選挙で,なりすまし投票の疑い

日本臨床細胞学会と日本臨床病理学会の認定資格である細胞検査士によって構成される「細胞検査士会」の平成25-26年度の役員選挙で,選挙人の投票用紙を集めた「成りすまし投票」が行われた,との内部告発があったそうです.

内部告発は,「今回の会長・副会長選挙で、支部代表者が選挙人から投票用紙を集め、自分で書き込んで投票しました。私は断りましたが、そのようなやり方は公正とは言えないのではないでしょうか。誰に投票したかはわかりませんが、他人の白票用紙を集める行為自体許されることではないと思います。」というものです.

これをうけて,選挙管理委員会,臨時三役会議は,次のとおり対応しました.

「1.今回の訴えは選挙実施要綱で定められた正当な異議申立て期間内に行われたものであり、訴えのあったように未記入の他人の投票用紙を集め、氏名が公示されている選挙人に代わって、あるいは成りすまして投票するという行為が行われたとすれば、単なる投票依頼とは異なり役員選任規程で定められた「選挙人による選出」を妨げる不正な行為であると考えます。(選管では選管ニュースNo.3 にて「身代わり投票は認めない」ことは最初からお断りしておりました)

2.また、今回、投票用紙を再点検しました結果、明らかに異なる筆跡で書き直されていると疑われる票が1 票みつかりました。今回の訴え内容との直接の関係を断定することはできませんが、他人の書いた投票用紙を別の人が訂正して投票することは改竄行為になり、これも不正な行為であると考えます。

3.しかし、身代わり投票については、現在の選挙制度では立証は困難であり、何票がそのような不正な方法で投票されたかを特定することもできません。支部の選挙人数が最低でも3 名であり、今回の選挙結果が僅差であることも考えると、公正な選挙の方針を示すためには再選挙も考慮すべきという意見、疑わしい1 票だけを無効としても得票順位に影響はなく、今回の結果のままでよいとする意見など様々な御意見があろうかと思いますので、選管としては選挙人の皆様に事実をお知らせした上で御意見をお聞きするアンケートを実施するという方針を全員一致で決定しました。

以上の方針に基づき、11 月9 日に候補者の皆様にお集まり頂き事前に御説明した後、役員会にて事情説明を行いましたが、意見がまとまらず議長提案によって会長・副会長と選管とで協議することとなり、11 月17 日に「臨時三役会議」が開催され、次のような結論が出されました。

細胞検査士会臨時三役(会長、副会長、監事)会議報告より

臨時三役会の結論:
1.今回の選挙結果については、次期会長石井保吉氏、副会長伊藤仁、是松元子両氏が選出されたことを選管ニュース(No.33)で会員に公表している通りと決定する。
2.今後の選挙に生かすためのアンケートを実施するかは選挙管理委員会に委ねる。
3.アンケートについては、細胞検査士からの客観的な意見を広く求めるため、細胞検査士全員を対象にする方向で実施してほしい。」


今回の選挙結果に影響しない,という結論に至ったわけです.
今後,どのような改善策がとられるか注目したいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2012-12-30 19:04 | 医療