海外で卵子提供を受けて日本で出産する事例についての実態調査(報道)
「30代半ばを過ぎると妊娠しにくくなる「卵子の老化」が原因の不妊が増えるなか、海外で別の女性から卵子の提供を受けて出産する妊婦が急増していることが、金沢大学のグループの調査で分かりました。卵子提供についての実態調査は初めてで、専門家は国内の法整備や妊婦が安心して出産できる医療態勢作りを急ぐべきだと指摘しています。
金沢大学の日比野由利助教のグループは、去年10月、卵子提供の実態を調べるため国内の周産期医療を扱う医療機関を対象にアンケート調査を行い、25%に当たる679の施設から回答を得ました。
それによりますと、海外で別の女性から卵子の提供を受けて出産した妊婦は、確認できただけでおととしは63人と、その4年前の3倍に急増していることが分かりました。卵子提供を受けた国は、最も多かったアメリカのほか、タイやロシアなど6か国に上りました。
これについて日比野助教は日本では事実上認められていないため、卵子の老化が原因で自分の卵子で妊娠できない女性が、最後の選択肢として別の女性から卵子を提供してもらうケースが増えているのではないかとみています。
一方で、卵子提供による妊婦を受け入れる国内の医療体制が十分には整っていないことも分かりました。
分べんの際のリスクについて43%の医師が高いと答えたうえで、具体的な危険性として、早産や、最悪の場合、母子ともに命の危険がある妊娠高血圧症候群などを挙げています。
しかし、卵子提供による妊娠と分かった場合、「分べんを断る」と答えた医療機関が4%あったほか、「別の病院を紹介する」と答えた医療機関が22%に上っていました。分べんを断る理由としては、「関与したくない」と答えた医療機関もありました。
日比野助教は「分べんを断る医師もいるため卵子提供を隠して出産する女性もおり、明らかになった卵子提供を受けた女性の数は氷山の一角だと思う。国内で卵子提供をどう扱うのか法整備を急ぐとともに、妊婦が安心して出産できる医療態勢作りを急ぐ必要がある」と話しています。
背景に「卵子の老化」で不妊の悩み
働く女性が増え晩婚化が進むなか、今、国内では6組に1組のカップルが不妊に悩んでいるとされています。その主な原因は「卵子の老化」です。
卵子は生まれたときから体の中にあり、新たに作られることはなく、女性が年齢を重ねるごとに老化し、30代半ばを過ぎたころから質が低下して妊娠が難しくなっていきます。
このため不妊治療に取り組む夫婦は急増していて、日本産科婦人科学会のまとめによりますと、3年前の体外受精の件数は24万件余りと、その5年前の倍に増え、世界最多となっています。
自分の卵子で体外受精を繰り返しても妊娠できない女性が最後に頼るのが「卵子提供」です。卵子提供は、第三者の若い女性から卵子をもらって夫の精子と体外受精させて子宮に戻すものです。
生まれた子どもは日本では出産した女性の子どもと認められます。
国内では卵子の老化が原因の不妊に対して卵子提供は認められていないため、アメリカやアジアなど海外に渡って卵子提供を受ける女性が急増しています。
一方、卵子を提供するのは、現地の外国人の女性のほか、最近では日本の若い女性が仲介業者を通して海外に行き卵子を提供するケースも出てきています。
アメリカなど卵子提供の現状は
法律や医師で作る学会の指針などに基づいて卵子提供が行われているアメリカには、日本から多くの女性が卵子提供を求めて訪れています。
このうちサンフランシスコの卵子提供を仲介する業者には、今、およそ200人が卵子提供を申し込んでいるということです。
日本語が話せるスタッフがいるこの業者には、日本からの相談が去年1年間で600人を超え、増える傾向にあるということです。
相談のほとんどは卵子の老化が原因で妊娠が難しくなった女性だということです。
費用は1回およそ500万円で、申し込むカップルは、10年ほど前は医師や弁護士など所得の高い人たちが大半でしたが、最近では公務員や会社員が最も多いということです。
この会社の川田ゆかり社長は「申し込む人たちは、長く不妊治療で苦しんだ末の選択としてどうしても子どもが授かりたいという気持ちで来ています。ことしの5月ぐらいまで日本の休日に当たる日は予約でいっぱいです」と話していました。
また、タイの産科婦人科学会の幹部によりますと、ここ数年、卵子提供のためタイを訪れる日本人が急増し、年間数百人が卵子の移植を受けているということです。」
このような海外での卵子提供ツアーは,かなり前からありましたが,やはり増えているのですね.
まず,当事者の医師・弁護士で倫理的な問題,法的整備について検討し,提案したらいかがでしょうか.
谷直樹
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