弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

水俣病認定訴訟上告審,弁護士山口紀洋氏が裁判官に「あまりに拙速ではありませんか」と声を上げる(報道)

毎日新聞「水俣病:認定訴訟・最高裁弁論 原告、被告8人が意見 認定基準の是非争う」(2013年3月16日)は,次のとおり報じました.

「水俣市の農業、溝口秋生さん(81)と、水俣市出身で大阪府豊中市の女性(今月3日、87歳で死去)がそれぞれ熊本県に水俣病認定を求めた訴訟の15日の最高裁口頭弁論。5人の裁判官を前に2件の訴訟で原告、被告側合わせて8人が意見を述べた。水俣などからも多くの患者や支援者らが最高裁を訪れ見守った。【西貴晴】

 口頭弁論は女性の裁判が午後1時半から、溝口さんが3時半からそれぞれ最高裁第3小法廷で約40分ずつあり、国が定めた水俣病認定基準などを巡ってやり取りが交わされた。

 女性の弁論では、代理人の田中泰雄弁護士(60)ら4人が国の水俣病認定基準を批判し「人権救済の最後のとりでたる最高裁がその名にふさわしい救済を図られるよう求める」と主張した。続いて被告の県側の代理人が認定基準を「現在の医学的知見に照らしても合理性を有している」などと訴えた。

 溝口さんの弁論では、原告の溝口さん自身が意見を述べた。今回の裁判で認定を求めた母チエさん(故人)が77年に亡くなった後、毎年命日前後に県に認定申請の結果を電話で問い合わせたが「検討中」の返事ばかりだったことや、棄却となったのがチエさんの死後18年もたってからだったことを挙げ、県の認定行政を批判した。

 溝口さんは「(溝口さんの勝訴となった)福岡高裁判決をそのまま認めて私の苦労を終わりにしてください。裁判が長すぎる。よろしくお願いします」と締めくくった。

 この後、溝口さんの代理人の山口紀洋弁護士(72)が「正義の判決をお願いします」などと述べた。4月16日の判決期日を決めて法廷を出ようとする裁判官に、山口弁護士が「あまりに拙速ではありませんか」と声を上げる場面もあった。

 溝口さんの意見陳述に先立ち、県側の代理人は認定基準の正当性を主張したほか、認定基準を満たさない被害者を対象に09年に施行された水俣病被害者救済特別措置法を引き合いに、行政が実施している「立法および行政施策全体の救済体系」の意義を強調した。」


判決が1か月後ということは,判決の中身はすでに決まっているのでしょう.
「声をあげた」というだけで,「声を荒げた」とは報じられていませんが,山口紀洋(としひろ)先生の声は一際力強く良くとおりますから,法廷に響いたことでしょう.

山口紀洋先生の言葉が第三小法廷の裁判官の心に伝わったことを願います.良い判決を期待いたします.
ちなみに,第三小法廷は,田原睦夫氏,岡部喜代子氏,大谷剛彦氏,寺田逸郎氏,大橋正春氏で構成されています.

谷直樹

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by medical-law | 2013-03-17 00:59 | 司法