弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大阪市立総合医療センターと大阪細胞病理研究所が癌と誤診した事案で患者と和解(報道)

読売新聞「誤診で人工肛門 大阪市などが和解へ」(2013年5月9日)は,次のとおり報じました.
 
「大阪市は8日、検査で誤って肛門がんと判断され、市立総合医療センターで不要な手術を受けて人工肛門を装着された同市在住の女性(68)が市と検査会社、民間病院に計3720万円の損害賠償を求めた訴訟で、市と検査会社が計3000万円を支払って和解する見通しとなった、と発表した。6月下旬に女性と被告3者が大阪地裁で和解する予定。

 支払金の負担は市が900万円、検査会社「大阪細胞病理研究所」(大阪市東淀川区)が2100万円。

 市によると、女性は2007年6月、民間病院を受診。病院から依頼を受けた研究所が検体を調べて肛門がんと判断、病院が手術が必要だと記した紹介状をセンターに送った。センターの医師も触診で紹介状の内容と相違点がなかったとして、がんと診断。同7月に手術したが、術後の検査でがんでないことが判明した。

 大阪地裁は、誤診のきっかけとして研究所の誤った検査結果を重く見たうえで、センターについて「手術前の検査で異常が認められず、がんの診断を見直す機会が十分にあった」と判断したという。市は「結果を重く受け止め、深くおわびする」としている。」


毎日新聞「医療ミス:大阪・医療センター、誤診を基に腸切除 68歳女性と和解」(2013年5月9日)は,次のとおり報じました.

「大阪市は8日、市立総合医療センター(都島区)で、肛門管がんと診断した女性(68)の直腸を切除した後にがんでないことが分かる医療ミスがあり、慰謝料など900万円を支払って和解すると発表した。女性は現在、人工肛門で生活しているという。

 市によると女性は2007年6月、市内の民間病院を受診。この病院が病理検査を依頼した検査機関ががんと診断し、女性を市立総合医療センターに紹介した。センターは翌月、独自に病理検査をしないまま、肛門に硬くなった部分があったためがんと診断、直腸や大腸の一部を切除した。しかし、手術後に病理検査したところ、がんでないと判明。女性は10年、市と検査機関などに計約3700万円の損害賠償を求める訴えを起こし、今年1月に大阪地裁が和解勧告していた。【茶谷亮】」


大阪地裁は,大阪市立総合医療センターが硬くなった部分があっただけで,手術前の検査で異常が認められなかったのに,病理検査を依頼した検査機関(大阪細胞病理研究所)の診断を鵜呑みにしたことに問題があるとみて,和解を勧告したのでしょう.

誤診のきっかけをつくった大阪細胞病理研究所が7で,大阪市立総合医療センターが3,という負担割合は,同種事案の解決に参考になるでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2013-05-09 17:54 | 医療事故・医療裁判