北九州市立医療センターのミダゾラム投与事故,和解(報道)
「小倉北区の市立医療センターで2011年8月、入院中の男性(当時73歳)に副作用のある鎮静剤を投与した際、全身まひなど障害が起き、男性がその後死亡した医療事故で、市が遺族に3659万円を支払うことで示談がまとまった。
市や遺族によると、男性は同年8月18日にセンターで前立腺がん手術を受けた後、「せん妄」と呼ばれる意識障害が起きた。制止を振り払ってベッドから起き上がろうとしたため、看護師が21日未明、医師の事前の指示に従って鎮静剤「ミダゾラム」を投与した。
ミダゾラムは呼吸を抑える副作用がある。男性は呼吸が低下する「呼吸抑制」状態となり、脳に十分な酸素がいかず低酸素脳症になった。12年1月に心不全で死亡した。
センターは、ミダゾラム投与の際の安全管理態勢に不備があったと過失を認め、遺族と示談を進めていた。男性の長男(49)は「父は帰ってこない。同じミスを繰り返さないでほしい」と話している。市病院局は「31日に発表する。今は何とも言えない」と話している。【宍戸護、降旗英峰】」
ミダゾラムの添付文書には,「重要な基本的注意」に留意し、呼吸及び循環動態の連続的な観察ができる施設においてのみ用いること。[呼吸抑制及び呼吸停止を引き起こすことがあり、速やかな処置が行われないために死亡又は低酸素脳症に至った症例が報告されている。]」と警告が記載されています.
そもそも,ミダゾラムの適応は,麻酔前投薬,全身麻酔の導入及び維持,集中治療における人工呼吸中の鎮静ですので,術後せん妄に対する投与は適応外使用となります.
谷直樹
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