京都地裁平成25年6月13日判決,麻酔薬による術後の窒息死の事案,見回り不十分を認め約3750万円の支払いを命じる(報道)
「○○病院(京都市東山区)で首の手術を受けた翌日に死亡した男性=当時(74)=の遺族が、医療ミスがあったとして病院を運営する日本赤十字社を相手に約5150万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁は13日、約3750万円の支払いを命じた。
橋詰均裁判長は「呼吸障害の副作用がある麻酔薬を使ったのに、手術後に十分な注意を払わなかった」と指摘。男性の死因を、たんが詰まったことによる窒息死と認定した。病院側は男性が手術前から服用していた向精神薬による不整脈と主張していた。
判決によると、男性は頸椎(けいつい)が異常に増殖して食道などを圧迫する「フォレスター病」と診断され、2007年12月5日に手術を受けた。手術直後に呼吸困難の状態になったが、病院側は夜間の付き添いを希望する家族を帰らせ、十分な見回りをしなかった。
○○病院総務課の話 判決文を確認しておらず、コメントは差し控える。」
手術直後に呼吸困難の状態になったが、病院側は夜間の付き添いを希望する家族を帰らせ、十分な見回りをしなかったという注意義務違反(過失)だけで,損害賠償責任が認められるわけでではありません.
損害賠償責任が認められるためには,注意義務違反(過失)によって結果(死亡結果)が発生したという因果関係があることも必要です.
後日判例雑誌等に公表される判決文をみないと正確なことは言えませんが,おそらく,病院側が主張する「向精神薬の副作用→不整脈→心停止→死亡」という機序と患者側が主張する「麻酔薬の副作用→呼吸障害→たん詰まり→窒息→死亡」という機序について争われ,裁判所は後者を認定し,注意義務違反(過失)との因果関係があるとされたのでしょう.
なお,モニターを着けていたとれすば,モニターのアラームはどうなっていたか,知りたいところです.
谷直樹
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