弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

小林製薬の肥満症改善薬の治験データ改ざん疑惑についてのSSI社の説明

小林製薬の依頼を受け,医療法人大鵬会千本病院が実施した肥満症改善薬の治験には,病院職員6人が含まれ,うち4人の身長が実際よりも約4?10センチ低く記録され,1人は実際は60キロだった体重が70キロと記録され,その結果BMIが上がり,肥満にみせかけていたことが,報道されています.

小林製薬が千本病院に依頼したのは,治験施設支援会社サイトサポート・インスティテュート(SSI)から紹介されたからとのことです.
医療法人大鵬会千本病院へ治験関連費として支払われた2460万円はほぼ全額が治験を担当した元内科部長と元院長と看護師1人に支払われ,病院側に残されたのは約3万円だったと報道されています.なお,医師は病院にお返ししていると述べています.
治験の責任医師であった千本病院の当時の内科部長は,「身長を測ったのはSSIのスタッフ。私は転記しただけ」などと説明しています.

SSIは,2013年7月1日,「本件について、弊社として社内調査を?いましたが、対象の治験を担当した医師を契約上支援した弊社CRC(治験コーディネータ)は平成23年9月に既に退職していること等により、データ改竄があったという事実は確認できておりません。」と発表しました。


千本病院が治験を実施したのはこれがはじめてですが,SSI社のCRCに任せきりにし,CRCの鉛筆書きした数字を医師が上書きしていたとすれば,そのようなやり方自体が問題でしょう.日本の治験の実態がCRC任せで行われているとすれば,さらに大きな問題となるでしょう.このようなことがあると,まじめに治験に取り組んでいる医師,その治験も疑われかねません.


谷直樹

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by medical-law | 2013-07-03 09:08 | 医療