弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

Injury Alert(傷害速報)No. 41 抱っこ紐からの転落による頭部外傷

日本小児科学会は,2013年8月23日,Injury Alert(傷害速報)を更新しました.

「No. 41 抱っこ紐からの転落による頭部外傷」が報告されています.

「国民生活センター危害情報システムにも子守帯の使用に関する危害情報が寄せられている.2010 年の報告では約10 年間で64 件の報告があり,その内訳は窒息,股関節脱臼,また本件と同様に前屈時に滑り落ちた事例などであった.なお米国やカナダからは窒息による死亡例の報告もある.
本件は装着に関する方法や手順に誤りがあった訳ではなく,我々が一般的に行う動作である「前屈み」をした為にできた子守帯と母親との隙間が原因と思われる.母親に「前屈みは注意しましょう」という注意喚起だけでは防ぎ得ないことは明らかである.これは例えば児の体を子守帯に固定させるようなストラップを装着する,また隙間ができ,児が滑り落ちた部分をなんらかの形で覆うことで転落を防ぐことができる可能性がある.通気性や視認性を確保する為には,帯状やメッシュ状のもので覆ってもよいだろう.」


日本小児委員会こどもの生活環境改善委員会は,「この傷害に対して,「抱っこ紐を使用するときには赤ちゃんが落下しないように注意しましょう」「抱っこ紐を利用するときには前屈姿勢をしないように注意しましょう」と指摘するだけでは予防できません.製品を改善することが必要です.」と述べています.

たしかに,製品の改善が早急に必要でしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2013-08-24 09:28 | 日常