特別養子縁組支援「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」発足
「•第一に考慮すべきは子の幸せであり、次に実母の心のケアを大切にする。
•虐待防止の視点から必要に感じて養子縁組を行うのであり、養子縁組が優先するのではない。
•実母、養親いずれからも謝礼や寄付金などを取らない。医療の一環として扱う。」
という基本姿勢を明記しています.
設立趣意書は次のとおりです.
「わたしたちは先人たちの様々な知恵と失敗に学び、福祉と医療をつなぎ、産婦人科同士も連携を取って、追い詰められた母と子を救い、赤ちゃんが欲しくてもかなわなかった愛情たっぷりのご夫婦に赤ちゃんを託し、赤ちゃんの人生を少しでも明るいものにするお手伝いができるように、あんしん母と子の産婦人科連絡協議会を立ち上げました。
小さな子供たちにとって愛情深い両親に見守られて育つこと以上に素晴らしいことはありません。これこそがボンディング形成の基本単位であり、物質的な豊さ以前に子供のために整えるべき環境の中で最優先すべきものであり、教えていくべきことであると思います。父と母が信頼し合っている家庭で育つ子供は、人を信頼する心、愛する心を家庭でしっかり身につけることにより、人生を肯定し、その後の人生において安定した幸福な人間関係を築いていく事ができる様になります。そしていつかその子が家庭を築いた時、良い連鎖を生み出し、ボンディングはさらにその子供に、脈々と受け継がれていくことでしょう。
患者さんの身体のみならず、心の痛みを和らげ健全な日常生活に尽力するのは医の道を歩むものの使命であり、妊娠に戸惑い、悩み、悲嘆にくれる妊婦さんに寄り添い、産まれ来る新しいいのちを守ることに人生をかけるのは、産婦人科医療に携わる特権を得たわたしたちの責務であると自覚しています。わたしたちは日夜、妊娠を望みながらなかなか赤ちゃんに恵まれない患者さんたちと、妊娠しても自分で育てる道を選べない妊婦さんの狭間で生きています。
微力ながら協議会一同、力を合わせて押し進めていきたいと思っております。」
NHK「特別養子縁組支援の協議会発足」(2013年9月8日)は,次のとおり報じました.
「出産した親が育てられない乳幼児の特別養子縁組を支援しようと、全国にある20の産婦人科の医療機関が8日、協議会を発足させ、子育てを望む夫婦へのあっせんを進めることになりました。
この協議会は「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」で、全国の14の道府県にある20の産婦人科の医療機関が参加しました。
特別養子縁組は、血縁関係のない子どもと大人が裁判所の許可を得て戸籍上の親子関係を結ぶ制度です。
出産した親が育てられず乳児院で暮らす子どもは、およそ3000人に上っていますが、民間団体や児童相談所があっせんして成立する特別養子縁組は、年間百数十人にとどまっています。
このため特別養子縁組のあっせんを支援しようと、埼玉県熊谷市で産婦人科の診療所を開いている鮫島浩二医師が中心になって協議会を作ったもので、8日、初めての会合を開き、活動を始めました。
協議会では、当面は鮫島医師の診療所を窓口にして、望まない妊娠をした女性などからメールと電話で相談を受け付けたうえで、協議会のうち最も近い医療機関を紹介し、子育てを望む夫婦にあっせんするとしています。
子育てを望む夫婦は事前の登録が必要で、当面は妻の年齢が48歳未満、3年後からは46歳未満を条件とする方針だということです。
記者会見で鮫島医師は「小さな子どもは家庭で育つべきで、妊婦に関わる各地の産婦人科の医師が連携することで、特別養子縁組を増やし、子どもたちがより幸せになれるようにしたい」と話しています。
日本医師会理事「国に支援働きかける」
記者会見に同席した日本医師会の今村定臣常任理事は「赤ちゃんの虐待を防ぐためにも、妊婦にいちばん近くで接している産婦人科医があっせんを行うことは意義のあることだと思う。一部の医師の情熱や善意だけでは事業の継続は難しいので、今後、国に対して、制度作りや助成金などの支援について働きかけていきたい」と話していました。」
今までもあっせんを行っている団体がありましたが,寄付など不透明な点が指摘され,不安を感じていた人もいたのではないでしょうか.その意味で「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」ができたことは大きな意味があります.
なお,今後を考えると,今村理事が述べるように,国の助成が不可欠でしょう.
谷直樹
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