藤原紀香さんのブログと日弁連の「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に対する意見書
NHK「日弁連 秘密保全法案 意見募集延長を」(2013年9月13日)は,次のとおり報じました.
「安全保障に関する情報を厳重に保護するための「秘密保全法案」について、政府は概要を公表し一般から意見を募集していますが、日弁連=日本弁護士連合会は、重要な問題であり、意見の募集期間を今の15日間から2か月間に延長すべきだとする意見書をまとめ、政府に送りました。
政府は安全保障に関する情報を厳重に保護するため、特に秘匿が必要な「特定秘密」に指定された情報を漏えいした公務員らに対し、最高で10年の懲役刑を科すなどとした「秘密保全法案」の概要を公表し、今月3日から17日までの15日間、インターネットなどを通じ、一般から意見を募集しています。
この法案に反対する日弁連=日本弁護士連合会は12日、意見の募集期間を2か月間に延長すべきだとする意見書をまとめ、この法案を担当する内閣情報調査室に送りました。
意見書では、法案の内容が国民主権など憲法の原理に抵触する可能性がある一方で、国会に提出されることをほとんどの国民がこれまで知らなかったとしています。
そのうえで、内容を理解するための期間と、理解したうえで意見を作成する期間を合わせ、2か月間が必要だとしています。
日弁連の清水勉弁護士は「憲法が保障する知る権利や表現の自由に関わる重要な問題だが、国民的な議論は進んでいない。政府は意見の募集期間を延長し、幅広い国民の声を聞くべきだ」と話しています。
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意見募集の期間 平均は27日間
政府がインターネットなどを通じて一般から意見を募集するパブリックコメント制度は、国会で審議されることのない「政令」や「省令」などを対象にしたものです。
秘密保全法案のような「法律」は、国会で民意が反映されるとして、本来、制度の対象にはなっていません。
この制度を利用して現在、意見を募集しているのは、秘密保全法案の概要も含めて合わせて32件ありますが、募集期間は平均で27日間となっていて、15日間は、そのおよそ半分です。
現在、20日間を下回るのは、秘密保全法案の概要のほかに、▽防衛省市ヶ谷地区などの施設管理業務に関わる民間競争入札の実施要項案と、▽農林漁業成長産業化支援機構の認可申請ついての意見募集の、合わせて4件となっています。
また、原発事故の被災者支援を定めた「子ども・被災者生活支援法」の基本方針案については、当初15日間でしたが、被災者の意見を十分反映させるべきだという意見が出たため、政府は11日、25日間に延長しました。
このほか「政令」と「省令」は、法律で、意見の募集期間を原則として30日以上とするよう定められています。
秘密保全法案を担当する内閣情報調査室は「幅広い議論をいただいて丁寧な意見集約を図る必要があると考え、法律で義務づけられたものではないが、パブリックコメント制度を活用することにした。15日間という期間は、ほかの省庁の事例を参考に決めたもので、現時点で見直しは考えていない」と話しています。」
◆ 日弁連の意見書
日本弁護士連合会(日弁連)は,平成25年9月12日,「日弁連の「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に対する意見書」を発表しました.
意見の趣旨は。
「1 意見募集期間を2か月に延長すべきである。
2 当連合会は,日本国憲法の基本原理を尊重する立場から,「特定秘密の保護に
関する法律案」(以下「本件法案」という)に強く反対する。」
というものです.
「有識者会議報告書は,ボガチョンコフ事件を秘密保全法制の立法事実としている。
しかし,事案に即した対策としては,秘匿性の高い文書について複写できる者を制限し,複写をした者や日時を記録し,日々,不正な複写の有無をチェックする運用を実行すればよい。
また,同事件については,④で述べたとおり,事案防止のためにさまざまな方策がとられており,その後同様の事件は再発していない。そうであれば,既に必要な対策はとられているのであり,新たに秘密保全法制を制定する必要性はない。
防衛省は,「個人的弱点を抱える職員は諜報工作の対象として狙われやすいところ,上司による職員の身上把握が不十分」との点が秘密漏えいの原因だとしている。
しかし,一般的に考えるならば,個人的弱点のない人など存在せず,誰もが何らかの「弱点」を持っている。「弱点」を探し出して,特定の者について「弱点がある」と評価しても何の意味もない。「個人的弱点」の有無を重視する考え方は誤りである。
H3佐の「個人的弱点」とは何だったのか。ボガチョンコフ事件では,確かに難病の子どもを抱えている親が秘密漏えいを起こしたが,H3佐に難病の子どもがいなければ情報漏えいはなかったのであろうか。見舞金の授受は難病の子どもがいなくてもなされうる。金を渡す口実は無数にある。
ボガチョンコフ事件では「個人的弱点」が情報漏えいの1つの原因になっていたかもしれないが,難病の子どもがいるという「個人的弱点」を事前につかんでいれば情報漏えいを回避できたという展開にはなったとは到底考えられない。ボガチョンコフ事件を教訓としても,職員の身上把握の不十分さが漏えいに結びついたとはいえない。」
難病の子どもがいることが弱点だというなら,家族がいる者は多かれ少なかれすべて弱点をかかえているとも言えるでしょう.ローン,病歴も弱点になるでしょう.弱点のない人はいるのでしょうか.立法事実そのものが疑問です.
また,この法案が成立すれば,政府は重要な情報を「特定秘密」として隠ぺいすることを可能となります.
しかも,特定秘密を取り扱う人の範囲は,公務員だけにとどまりません.報道機関の取も制限される懸念があります.
◆ 藤原紀香さんのブログ
藤原紀香さんは,平成25年9月13日,ブログに「秘密保全法案って?」を書きました.
「みなさん、「秘密保全法」 って知っていましたか? 知らない人が多いので、今日はダイアリーに書いてみます♪」
「実は、日経や朝日など各新聞の社説でも、これがこのまま通ると大変なことになると書かれており、もしその可能性があるとしたら、国民の一人としていかがなものかと心配しています
秘密保全法案を、各所で読んでみたらその適用範囲が曖昧なので、
そのようなスパイ行為にあたるものだけでなく、国が‘この案件は国家機密である’と決めたことに関しては、国民には全く知らされないことになり、
放射能汚染、被爆などのことや、他に、もし国に都合よく隠したい問題があって、それが適用されれば、私たちは知るすべもなく、しかも真実をネットなどに書いた人は罰せられてしまう。。。なんて恐ろしいことになる可能性も考えられるというので、とても不安です(>_<)
もちろん、日本を陥れるべくスパイ行為を働いた輩には罰を与えるべきだと思うし、そのようなスパイ行為が起きないよう なんらかの法案が必要となるとは思います。
が、原発の問題や放射能の問題は、国民が知るべきことだと思うので、その国家機密にあたる範囲がどこまでなのか、曖昧なのが問題なのだと思います。」
「ちなみに、「秘密保全法」ってなに?という方は、こちらのサイトをご覧ください。
日本弁護士連合会「秘密保全法とは?」
http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/secret/about.html
このまま施行されてしまうと、「日本の国土がどれくらい汚染されたのか明らかにしたい」ということさえ、タブーになってしまう可能性があるとのこと。
国が、これらを「特定秘密」に指定すれば、反対の声を挙げている人たちや、真実を知ろうとして民間で調査している人やマスコミ関係者などが逮捕されてしまう可能性があるって。。。日本は民主主義国家ではなくなってしまうのかな(T_T)
私も自分の意見、パブコメに送らせていただきました。国民の一人として。」
【追記】
TBS「秘密保護法案で知る権利は? 政府の意見公募8割が反対論」(2013年9月26日)は、次のとおり報じました.
「特定秘密保護法案」。これは機密情報を漏らした公務員らへの罰則を強化するものですが、その原案が政府から自民党に示されました。法案をめぐっては「知る権利が守られるのか」といった懸念の声が各所であがっていますが、国民から政府に寄せられた意見のうちおよそ8割が法案に反対する内容だったことも明らかになりました。
「特定秘密保護法案」は外交や防衛に関する重要情報を「特定秘密」として指定し、これを漏らした公務員らに最高で懲役10年の罰則が科せられるというものです。
26日、政府が自民党に示した原案では、法律の適用にあたって「報道の自由に十分配慮する」、「基本的人権を不当に侵害することがあってはならない」という条文も盛り込まれています。ただ、この法案に対しては各所から懸念の声があがっています。
「我々の活動に大きな制約になる。それを超えて民主主義を後退させるものである」(全国市民オンブズマン連絡会議・新海聡事務局長、今月8日)
行政の監視を続けている市民オンブズマンの会議では、法案が成立した場合、全国の自治体などに情報公開を一斉に請求するような手法も罰則の対象になる可能性が指摘されたほか、日本ペンクラブや日本弁護士連合会などの団体も「国民の知る権利が侵害される」などとして、反対しています。
そして・・・、「日本は民主主義国家ではなくなってしまうのかな」。女優の藤原紀香さんもブログで懸念を表明し、政府が国民から意見を募集する「パブリックコメント」に投稿した、と掲載。そして26日、政府はそのパブリックコメントに寄せられた意見のうち、およそ8割が法案に反対する内容だったことを明らかにしました。
「国民の知る権利だとか取材の自由、これを十分に尊重しながら論定整理を行っているということでありまして。早期に国会に提出して成立させたい。これが政府の姿勢です」(菅官房長官)
政府が秘密を管理する法案はこれまでも検討されてきました。
民主党政権でも、尖閣諸島沖で海上保安庁の巡視船と中国の漁船の衝突を記録したビデオが、インターネット上に流出した事件をきっかけに議論され、法律の必要性が訴えられました。当時、党内の意見集約の責任者だった大野元裕参議院議員も、秘密保護法は必要だという考えですが、今回の政府案には危うさを感じているといいます。
「政府が何が秘密であるかを決定し、政府がその公開の是非というものを決定し、秘密でなくなった時には秘密指定を解除するわけですけど、すべて政府が行います。すると、担保するものが全くないんですね」(民主党・大野元裕参議院議員)
大野氏は、情報公開に関するルールを明確にすることや、政府による秘密の指定を国会議員が監視する仕組みを作ることなど、さらなる対応が不可欠だと話します。
異論が噴出している特定秘密保護法案。政府自民党は条文の調整を続ける方針です。」
谷直樹
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