日本OTC医薬品協会、OTC医薬品等の承認の可否の審査を行う委員から日本医師会・日本薬剤師会を外すよう要望
「日本OTC医薬品協会では、スイッチ化の促進に向けて提言を行ってきたが、スイッチOTC、特に生活習慣病分野の承認審査が、一部の利害関係者の発言により不当に妨げられていることに対し、以下の緊急提言を行う。
1.薬事法に基づくスイッチOTCの承認審査については、早急かつ全面的に業務を進めて頂きたい。
なお、スイッチを行っても、当該医療用医薬品は薬価リストから除かれることはないので、医療の場で支障をきたすことはない。
2.厚生労働大臣の諮問機関である薬事・食品衛生審議会において、利害関係者からの強硬な発言等により、昨年末以降、長期にわたり、不当に承認審査手続きが停滞している。 その様なことが再発しないよう以下の措置を検討して頂きたい。
(ア) OTC医薬品等の承認の可否を審査する委員から、医師会や薬剤師会等の利害関係者を外すこと。 審議会での審査に、利害関係者が入つていることは、欧米先進国では見られないことである。
(イ) 上記措置を講じた上で、わが国においてもスイッチOTCの承認に当って、日本医師会、日本薬剤師会を含め、生活者や供給事業者等の広範な利害関係者の参加を得て、公開の場での論議を進める米国FDA等で実施している公開討論会(Public hearing)を採用するといった改善策を講じること。
3.生活習慣病領域のスイッチOTCの活用では定期的な健診とアドバイスが必要であると考える。スイッチOTCを購入し活用する生活者は、国が勧める健康診断や特定健診等の機会を活用し、医療専門家のアドバイスを得ることを励行させる取組みを、国として進めて頂きたい。」
しかし、日本医師会・日本薬剤師会が権益のためにスイッチ承認審査を遅らせている、という見方は、いかがなものでしょうか.
薬剤消費者の安全性を考慮すると、安易にスイッチOTCをすすめるべきではない、と考えますし、日本医師会・日本薬剤師会は、国民の健康を守る立場から発言していると思います.
日本医師会の日本経済新聞に対する抗議文も紹介します.
日医ニュース第1250号(平成25年10月5日)の「日刊紙記事に対して,抗議文を送付」は、次のとおり伝えています.
「日医は,このほど,日経新聞の九月十五日付の紙面に掲載された記事「規制岩盤を崩す 会わないとダメですか 対面信仰医療・教育しばる」に対して,石川広己広報担当常任理事名で抗議文を作成し,日経新聞社社長宛てに発出した.
抗議文では,まず,同記事について,医療行為に対する事実誤認に基づく重大な間違いがあり,医学的に根拠のない情報を意図的に流布して国民の健康を危うくする煽動的記事と断じざるを得ないと指摘.特に,以下の三点の記述(一)「対面信仰 医療・教育しばる」「対面イコール安心」,(二)「生活習慣病ならネットで医師が診断し,ネットで薬も届ければいい.阻むのは『医療行為は対面でないと危ない』と唱える医師や厚労省だ」,(三)「ネット販売がどんどん広がると医師や薬剤師の仕事が減りかねない『安全』を盾に既得権益を守る姿に映る」─を問題視し,強く抗議している.
(一)については,医療行為においては対面での診療なくして適切な診断を下すことは出来ず,既に認められている遠隔診断においても,最終的に「診断」を行うのは,患者と日常接している医師であるとして,対面診断の重要性を強調.経済界では,対面営業を廃止し,ネット販売に特化している業者もあるが,その理由はあくまでも事務コストの削減という経済的視点からであり,医療行為を商取引の手続きと同列に論じることは重大な間違いであるとした.
(二)に対しても,生活習慣病は,さまざまな症状が複合して命に関わる症状を来すこともあり,このような医学的に根拠のない報道は,国民の健康を危うくするばかりでなく,地域医療の現場で生活習慣病の予防と治療に取り組んでいる医師の努力を冒涜するものであると批判.また,(三)に関しても,「医薬品のネット販売が野放図に行われれば,国民の命と健康が危険に晒される恐れがあること」「わが国では不幸な薬害被害が繰り返されてきたこと」を挙げ,政府による適切な規制は必要だとするとともに,あたかも医師と薬剤師が「既得権益」なるものを振りかざして,悪い生業を営んでいるかのような記述は根拠のない言い掛かりと断じた.
その上で,日医は,誤った記事が独り歩きすることにより,結果として医療に関わる国の適切な規制が壊れることになることを危惧しているとして,日経新聞社に対し,再びこのような記事を掲載することのないよう強く求めている.」
日本医師会の主張は、きわめてまっとうな意見である、と思います.
谷直樹
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