弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大分地裁平成25年9月30日判決,手術を止血用具のない刑務所診察室で行った事案,賠償命じる(報道)

読売新聞「刑務所での手術ミスで後遺症、国に賠償命令」(2013年10月1日)は,次のとおり報じました.

「大分刑務所(大分市)での手術ミスで後遺症が残ったとして、受刑者の男性(31)が国に355万円の損害賠償を求めた訴訟で、大分地裁(宮武康裁判長)は30日、刑務所の医師の過失を認め、国に100万円の支払いを命じた。

判決によると、男性は2007年11月、刑務所の診察室で、医師から下半身の腫瘤しゅりゅうの切除手術を受けた。その後、患部が内出血し、皮膚に炎症が起きるなどした。宮武裁判長は「止血のための電気メスを準備するなどの注意義務を怠ったうえ、血管を損傷させたことに気付かないまま縫合し、皮下出血を生じさせた」と医師の過失を認定し、今後の治療費や慰謝料を認めた。」


大分放送「受刑者の手術ミス賠償訴訟で国に支払い命令」(2013年9月30日)は,次のとおり報じました.

「2007年大分刑務所の受刑者が刑務所内で受けた腫瘍の摘出手術で後遺症が残ったとして国に対し損害賠償を求めた裁判で、大分地裁は国に100万円の支払いを言い渡しました。この裁判は大分刑務所に服役している31歳の男性受刑者が2007年、当時の医務課長に腫瘍の摘出手術を受けた後、尿道などに後遺症が起きたとして国に対し355万円の損害賠償を求めたものです。きょうの判決で大分地裁の宮武康裁判長は「手術の際、止血用具を準備するなどの注意義務があるが医師が怠った」として医師側の過失を認め国に100万円の支払いを命じました。判決を受けて大分刑務所の杉本令二所長は「判決内容を精査し適切に対応してまいりたい」とコメントしています。」

止血用具を準備せずに手術を行ったとすれば,控訴の余地はないでしょう.
そもそも,腫瘍の摘出手術を刑務所の診察室で行うこと自体問題でしょう.


谷直樹

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by medical-law | 2013-10-09 23:35 | 医療事故・医療裁判