弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

神戸市立医療センター中央市民病院,HBV陽性を陰性と勘違いし抗がん剤治療で悪性リンパ腫患者死亡(報道)

中日新聞「検査怠り、肝炎で男性患者死亡 神戸、医師が勘違い」(2013年10月9日)は,次のとおり報じました.

「神戸市民病院機構は9日、市立医療センター中央市民病院で、B型肝炎ウイルスに感染していた60代の男性に抗がん剤を投与した際に、医師が必要な血液検査を怠り、男性が劇症肝炎を発症して死亡したと発表した。

感染者が抗がん剤などの化学療法を受けると、免疫力が低下してB型肝炎ウイルスが再活性化し、肝炎を発症する恐れがある。

このため、厚労省のガイドラインは、化学療法と並行した血液検査など適切な処置を定めている。

同機構によると、男性は悪性リンパ腫の治療で入院。治療前のB型肝炎ウイルス検査で陽性だったが、担当医師が陰性と勘違いし、その後の血液検査を怠ったという。」


悪性リンパ腫の治療成績は,リツキサン(一般名:リツキシマブ)登場で向上し,ゼヴァリン(一般名:イブリツモマブチウキセタン),トレアキシン(一般名:ベンダムスチン)が登場して,さらに向上しました.

本ブログ「大阪大学医学部附属病院,B型肝炎キャリアの悪性リンパ腫患者へのリツキシマブ投与で提訴される(報道)」にも書きましたが,リツキサン(一般名:リツキシマブ)がB型肝炎ウイルスを活性化させることから,治療前のB型肝炎ウイルス検査は必須とされています.

医師がどうして「陽性」を「陰性」と勘違いしたのかわかりませんが,これは重大なミスと言えるでしょう.
ただ,勘違いは起こり得ることですから,本件を単にその医師のミスとしてすませるのではなく,病院にチェックするシステムがなかったことを問題とし,再発防止策を検討していただきたく思います.

谷直樹

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by medical-law | 2013-10-10 00:25 | 医療事故・医療裁判