弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

医療関係者も誤解,妊娠中に胎児へうつる2つの感染症

健康百科「トキソプラズマとサイトメガロウイルス―患者会が訴え」(2013年10月30日)によると,第45回日本小児感染症学会のシンポジウムで,トーチの会北海道支部長の吉田氏は「医療関係者でもサイトメガロウイルスに対し、風疹のような飛沫感染があると誤解があった。正しく指導することが当たり前なのに、それができていなかった」と述べ,トーチの会代表の渡邊氏は、妊婦の啓発用パンフレットなどにトキソプラズマやサイトメガロウイルスの母子感染に関する記述がないことに触れ、「感染の可能性が高く重い障害が残る恐れがあるにもかかわらず、正しい知識を得る機会がない」と述べた,とのことです.

「先天性トキソプラズマ症の原因となるトキソプラズマは、ネコ科動物の糞や家畜の肉、土中などに潜む原虫で、口から感染すること(経口感染)が多い。世界で30%以上の人が感染しているとの試算もあるが、成人感染では無症候か軽い風邪の症状で終わることが大半だ。

 先天性サイトメガロウイルス症の原因となるサイトメガロウイルスも日常生活で接することは珍しくなく、母乳や唾液、尿、性行為などで感染する。日本では成人の半数以上が免疫を持っているとされ、健康であれば感染しても特に問題は起きない。

 ところが、いずれも妊婦が初めて感染した場合は深刻な問題につながる恐れがある。妊娠時期で異なるがトキソプラズマは10~70%、サイトメガロウイルスは30~50%の割合で胎児に感染するとされ、最悪の場合は流産や死産になったり、脳に障害が残ったりする。出生時に問題がなくても、子供が成長するにつれて視力や聴力に何らかの障害が現れてくるケースもある。」


「過去の全国調査結果を根拠にこれらの先天性感染症に無頓着な医療関係者が少なくないと指摘し、妊婦や妊娠希望者などへの抗体検査や感染児の障害に対する早期発見・治療などを充実させる対応策を提案。同会の活動にも触れ、公式サイトで母子感染予防パンフレットが無料でダウンロードできることなども紹介した。」

小児科医のみならず,産科医にも聞いていただきたい内容と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2013-10-31 08:04 | 医療