飯田市の病院,人工呼吸器の操作ミスで示談(報道)
「飯田市は20日、市立病院に入院中、慢性呼吸不全の悪化で死亡した男性の遺族に対し、人工呼吸器の操作にかかわる医療ミスを認め、解決金として330万円を支払って和解すると発表した。市側はミスと死亡の因果関係は否定している。
市立病院によると、2010年9月22日、男性の治療に利用していた人工呼吸器と病室の壁にある酸素配管との接続を怠り、約3時間、呼吸器から酸素が送られない状態になった。男性には慢性呼吸不全の持病があり、当時は主に脳梗塞(こうそく)の治療目的で入院していた。男性は約2カ月半後の12月6日に死亡した。
その後、市と遺族が医療ミスが直接の死因かどうかで話し合いを重ねてきた。訴訟にはなっていない。【横井信洋】」
医療過誤に基づく責任が裁判で認められるためには,「過失(ミス)」「因果関係」「損害」を患者側で証拠に基づいて立証することが必要です.そこで,事案によっては,因果関係立証が高いハードルになることもあります.
ただ,死亡や重度の後遺症という結果が発生している場合は,「過失」と悪しき結果との間に相当程度の可能性があることを立証すると,全損害に対応する金額ではありませんが,或る程度中間的な金額での損害賠償が認められます.
そこで,病院側がミスを認めた上で死亡との因果関係を否認する場合は,裁判では或る程度の金額の賠償が認められることをふまえて,裁判前の話し合いで解決できる場合があります.医療側に誠意があれば,医療訴訟を行うまでもなく,解決できる場合があります.弁護士が依頼を受けた場合,弁護士が裁判での見通しを説明し理解を得ることで,裁判前で解決することが多いのです.
本件は,患者側に弁護士がついていたか不明ですが,病院側が,因果関係のみを争い,過失(ミス)を認めていたことが,裁判によらずに解決できた大きな要因と思います.
谷直樹
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