除夜の鐘
「除夜の鐘は暗い遠いい空で鳴る。
千万年も、古びた夜よるの空気を顫はし、
除夜の鐘は暗い遠いい空で鳴る。
それは寺院の森の霧つた空……
そのあたりで鳴つて、そしてそこから響いて来る。
それは寺院の森の霧つた空……
その時子供は父母の膝下で蕎麦を食うべ、
その時銀座はいつぱいの人出、浅草もいつぱいの人出、
その時子供は父母の膝下で蕎麦を食うべ。
その時銀座はいつぱいの人出、浅草もいつぱいの人出。
その時囚人は、どんな心持だらう、どんな心持だらう、
その時銀座はいつぱいの人出、浅草もいつぱいの人出。
除夜の鐘は暗い遠いい空で鳴る。
千万年も、古びた夜の空気を顫はし、
除夜の鐘は暗い遠いい空で鳴る。」
「遠いい」がいいですね.
ところで、「囚人」とは誰のことでしょうか.
この詩が昭和11年1月に発表されたことからすると、前年12月の大本事件との関連も考えられなくもないでしょうが、中原氏の思想からすると、ポール・ヴェルレーヌのことではないか、と思います.
遠いい時代と遠いい場所を思う詩ではないかと.
谷直樹
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