医療安全情報No.86[禁忌薬剤の投与]
●重度の腎障害・腎不全に禁忌である,グリコラン錠(経口血糖降下剤),ザイザル錠(アレルギー性疾患治療剤),ビジクリア配合錠(経口腸管洗浄剤)を投与した例
●パーキンソン患者の禁忌のセレネース注(抗精神病剤)を投与した例
●消化管穿孔疑いに禁忌のバリエネマHD75%(ディスポーザブル注腸造影剤)を投与した例
●血友病に禁忌のネオラミン・マルチV 注射用(高カロリー輸液用総合ビタミン剤)を投与した例
が挙げられています.
「事 例 1
パーキンソン病の患者の術後にせん妄があったため、医師はセレネースの筋肉注射を
指示し、看護師が投与した。セレネース注の添付文書上、禁忌事項に「パーキンソン病の
患者」と記載があったが、医師および看護師はそのことを知らなかった。セレネースを
投与後、患者はパーキンソン病による筋強剛が悪化した。
◆セレネース注(抗精神病剤)の添付文書の『禁忌』に、「パーキンソン病の患者〔錐体外路症状が悪化するおそれがある。〕」と記載されています。
事 例 2
腎不全の患者に大腸ポリープ切除術の前処置として、医師はビジクリア配合錠を処方した。
ビジクリア配合錠の添付文書上、禁忌事項に「重篤な腎機能障害のある患者」と記載があったが、医師はそのことを知らなかった。ビジクリア配合錠を内服した翌日、急性高リン血症、低カルシウム血症によるテタニー症状をきたした。
◆ビジクリア配合錠(経口腸管洗浄剤)の添付文書の『禁忌』に、「透析患者を含む重篤な腎機能障害のある患者、急性リン酸腎症のある患者」と記載されています。」
いずれも患者の疾患や病態を把握していましたが,医療用医薬品の添付文書上「禁忌(次の患者には投与しないこと)」であることを知らなかったためにおきた事故とのことです.
医療裁判では,添付文書に禁忌と記載されている薬剤の投与は,注意義務違反が推定されます.
谷直樹
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