金沢地裁平成26年3月17日判決,酸素吸入チューブの交換中にけいれんを起こした事案で請求棄却(報道)
「小矢部市の北陸中央病院に入院していた石川県内の70歳代女性(2012年7月死亡)が、酸素吸入用の挿管ミスで脳に重い障害を負ったとして、女性の家族が病院を経営する公立学校共済組合に約6920万円の損害賠償を求めた訴訟で金沢地裁は17日、原告側の請求を棄却する判決を言い渡した。
判決によると、女性は2000年6月、酸素吸入チューブの交換中にけいれんを起こし、低酸素状態に陥って脳に障害が残った。
判決理由で源孝治裁判長は、再挿管用のチューブを事前に準備していなかったとして組合側の注意義務違反を一部認めたが、障害との因果関係については「けいれん発症までの時間は短く、事前準備があっても酸素吸入できたとは認められない」と否定した。」
医療過誤に基づく損害賠償請求が認められるためには,(1)注意義務違反(過失),(2)因果関係,(3)損害が認められることが必要です.
本件は,(1)注意義務違反(過失)を一部認め,(2)因果関係を否定し,請求棄却とした判決です.
けいれん発症まで何分と認定したか不明ですが,「相当程度の可能性」も認めなかったのですから,裁判所の因果関係立証のハードルは高いという印象をうけます.
弁護士 谷直樹
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