弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

1回の分娩当たりの掛け金1万6000円へ引き下げ、出産一時金支給額減額か?

NHK「「産科医療補償制度」で掛金を減額へ」(2014年4月21日)は、次のとおり報じました.

「出産時の事故で重い脳性まひになった子どもを対象に補償金が支払われる「産科医療補償制度」について、厚生労働省の医療保険部会は、1回の分べん当たりの掛金を現在の3万円から、1万6000円に減額することを決めました。

「産科医療補償制度」は、出産時に何らかの事故で子どもが重い脳性まひになった場合、3000万円の補償金が支払われるもので、「出産育児一時金」の一部が財源として充てられています。
しかし、実際に脳性まひになり補償の対象になった人の数が、当初の予想を下回ったことなどから、余剰金が800億円に上る見込みで、出産育児一時金を出している健康保険組合の団体などが、1回の分べん当たり3万円となっている掛金の引き下げを求めていました。
このため、21日開かれた厚生労働省の医療保険部会で見直しを検討した結果、対象者を年間最大719人と推計し、余剰金を今後10年間、掛金に充てるとしたうえで、掛金を1万6000円に減額することを決めました。
一方、掛金の減額に伴って出産育児一時金の支給額の見直しも検討されましたが、21日はまとまらず、継続して議論されることになりました。
新しい掛金は、来年1月から導入される予定です。」

社会福祉が充実していない日本の現状では、度の脳性麻痺になった子どものためには、現行の3000万円では明らかに不足です.余剰があるから掛け金を減額するという方向ではなく、補償額を増額する方向で(成人後も支給する方向で)で検討すべきと思います.

弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-04-24 00:53 | 医療事故・医療裁判