弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

停電事故と電子カルテ閲覧

週刊ダイヤモンド「東大病院がシステム事故を矮小化 電子カルテ閲覧不能を公表せず」(2014年4月30日)によれば,東大病院で2013年10月27日(日)午後2時半から翌28日(月)午前8時まで作業ミスによる停電のため全ての電子カルテが停止する事故が発生したことが分かったとのことです.
「週刊ダイヤモンド」の取材によると,全患者の電子カルテが閲覧できなくなり,医療事故防止のために入院患者が手首に巻く「患者認識用リストバンド」のバーコードも読み込めなくなったとのことです.
東大病院は,「(電子カルテの閲覧は)ウェブ系のデータ参照システムが障害発生中も利用可能だった。治療行為の遅延もなかった」と回答した,とのことです.
「週刊ダイヤモンド」の関係者への取材によると,電子カルテを参照できるようになったのは深夜に入ってからで,実際には入院患者に点滴ができなかったり,治療行為には確実に遅れが出ていた,とのことで,影響の程度には相違があります.
ほとんどの病院で,手書きのカルテから電子カルテに移行しましたが,これは,電子カルテの弱点を露呈した事故と思います.二重三重のバックアップ体制が必要なのではないでしょうか.

また,つい先日,IE(Internet Explorer)の脆弱性(セキュリティホール)が発見され,zero-day attackを懸念した米国,英国の政府がIE使用を控えるよう警告しました.私の事務所では,Chromeの使用が多いのですが,ドキッとする情報でした.
現代は,ツールが便利になった反面,危険と背中合わせです.

弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-05-01 06:22