弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

武田薬品工業、高血圧治療薬ブロプレスの臨床研究への組織的関与認める(報道)

NHK「武田薬品 社員が一貫して臨床研究に関与」(2014年6月20日)は、次のとおり 報じました.


「大手製薬会社、武田薬品工業が、高血圧治療薬の臨床研究の結果を宣伝広告に使った際、データが一部書き換わるなどしていた問題で、武田薬品は20日、社員が研究の計画から結果の公表まで一貫して研究に関与しており、公正性に疑義を生じさせかねないなどと指摘した第三者機関の調査結果を明らかにしました。

この問題は武田薬品工業が高血圧の治療薬「ブロプレス」について、狭心症や脳卒中をどのくらい抑えられるかを調べた臨床研究の結果を平成18年ごろ、薬の宣伝広告に使った際、一部、グラフのデータが書き換わるなどしていたものです。

武田薬品はこの研究について医師が主導して行ったもので、研究自体には関与していないと説明していましたが、第三者機関がまとめた調査報告書によりますと、武田薬品の社員が研究の計画から結果の公表まで一貫して関わっていたことが分かったということです。具体的には、武田薬品の社員が患者のカルテを閲覧し、条件に合う患者を選んで研究への参加を呼びかけてもらうよう医師に依頼したり、患者のデータの入力を一部、医師に代わって行っていたりしていたということです。

一方、研究結果を掲載した宣伝広告のグラフのデータが一部書き換わっていた点については、社員が関与したかどうか確認できなかったとしています。
武田薬品工業の長谷川閑史社長は「結果の公正性に疑念を生じさせかねない関与や働きかけを行ったことについて、おわび申し上げます」と謝罪しました。」


読売新聞「京大などの研究に「組織的関与」…武田薬品謝罪」(2014年6月20日)は、次のとおり報じました.

「製薬大手の武田薬品工業は20日、京都大学などが実施した高血圧治療薬「ブロプレス」の臨床研究について、同社が組織的に関与し公平性が疑われるものだった、とする第三者機関の調査報告書を公表した。

 同社の長谷川閑史やすちか社長は「製薬企業全体の信頼を揺るがしかねない行為。反省している」と謝罪した。

 報告書によると、同社はブロプレスの売り上げを大きくすることを目的に、研究の企画・立案から学会発表まで、一貫して関与。研究の途中段階で、ブロプレスに有利な解析結果が出ないとわかると、追加のデータや解析を京大側に繰り返し要求した。学会発表用のスライド作成にも、社員が関与し、有利に見えるようなグラフを追加するよう働きかけ、広告などにも使用した。また、病気の発症の定義を途中で変えさせ、ブロプレスに有利な結果を導いた。
 しかし、データ改ざんや、統計解析への直接的な関与は確認されず、「誤解を招くものとまでは言えない」と判断。虚偽広告や誇大広告には当たらないとした。」


臨床研究に対する製薬企業の関与は、根深いものがあるように思われます.
他の臨床研究についても調査が必要でしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2014-06-21 01:04 | 医療事故・医療裁判