弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

信頼される立場を利用した歯科医師に実刑判決

msn産経「女性患者にわいせつ行為「信頼される立場利用した」 元歯科院長に懲役3年」(2014年7月15日)は,次のとおり報じました.

「診察室で女性患者にわいせつな行為をしたとして、準強制わいせつ罪に問われた山梨県笛吹市の元歯科医院長、××××被告(35)に対する判決公判が15日、甲府地裁で開かれ、菱田泰信裁判官は「酌量の余地はない」などとし、懲役3年(求刑懲役5年)の判決を言い渡した。

 判決理由で、菱田裁判官は「信頼される歯科医の立場を利用し、診察室という密室で犯行に及んだ」と指摘。「経営がうまくいかないストレスと性的欲求を解消するためだったという動機は酌量の余地がない」と批判した。

 判決などによると、昨年6~10月、院長を務めていた甲府市愛宕町の歯科医院の診察室で、10~30代の女性患者3人に対し、目にタオルをかぶせた状態で座らせ、下半身を押しつけるなどした。」


刑法第178条1項は,「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。」と定めています。
刑法第176条は,「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6ヶ月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」と定めています.

判例では,医師ないし医師と称する者が正当な医療行為を行うものと誤信させてわいせつな行為をした場合,「抗拒不能」にあたり,準強制わいせつ罪になるとされています.
本判決は,報道されているような歯科診療の場面について「抗拒不能」と解したわけです.

実刑判決ですので,歯科医師免許取り消しの処分が下される可能性も高いでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2014-07-17 07:03 | 医療