SGLT(ナトリウム/グルコース共輸送体)2阻害薬の重篤な副作用。再び注意喚起
「糖尿病の専門家でつくる「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」は、糖尿病の新たな治療薬として注目されている「SGLT2阻害薬」の使用方法について、医療者に注意喚起を行った。注意喚起は8月29日付で、6月に続いて2度目。副作用の報告では、皮膚症状が500例を超え、このうち全身に症状が出るなど重篤なケースは80例以上に上った。【敦賀陽平】
SGLT2阻害薬をめぐっては、製薬会社の「アステラス製薬」(東京都中央区)と「MSD」(同千代田区)が4月中旬、国内の一番手として「スーグラ」(一般名イプラグリフロジン)の販売を開始。その後、各社が新製品を相次いで発売している。
今回の注意喚起は、スーグラに加え、「ルセフィ」(同ルセオグリフロジン)、「フォシーガ」(同ダパグリフロジン)、「アプルウェイ」「デベルザ」(同トホグリフロジン)の5製品(4剤)について、8月17日までの副作用の報告を基に行われた。
治験の段階から薬との関連性が認められていた尿路・性器感染症については、膀胱炎など尿路感染症が120例以上、外陰部膣カンジダ症など性器感染症が80例以上に達した。尿路感染症では、腎盂腎炎などの重篤なケースが12例報告された。
皮膚症状は薬疹、発疹、皮疹、紅斑など軽度なものを含めると、500例以上の報告があり、最も頻度が高い副作用だった。このうち、重篤と判定された事例は80例以上に上り、重篤なスティーブンス・ジョンソン症候群とみられる事例も1件確認された。こうした重篤な皮膚障害は、治験の段階ではほとんど報告されていなかった。
皮膚症状は薬の投与から約2週間以内に発生していた。皮疹の症状が落ち着いた後、別の種類のSGLT2阻害薬に切り替えたところ、症状が再発したケースも数例あった。このため、同委では薬疹の症例について、「SGLT2阻害薬以外の薬剤への変更を考慮すべき」としている。
こうした副作用の報告を踏まえ、同委では、▽高齢者(65歳以上)への投与は慎重に適応を考えた上で開始、薬の発売から3か月以内に投与する場合は全症例を登録する▽尿路感染や性器感染に関しては、問診(質問紙の活用も推奨)や検査を適宜行って発見に努め、発見時は泌尿器科や婦人科に相談する▽当面の間、原則として他の2剤程度までの併用が推奨される―など7項目の対策を提言した。」
委員会は,2014年6月13日に策定した「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」 を「8月17日の時点での各製剤の副作用報告によれば、予想された副作用である尿路・性器感染症に加え、重症低血糖、ケトアシドーシス、脳梗塞、全身性皮疹などの重篤な副作用がさらに増加している」ことから,2014年8月29日に改訂しました.
次の副作用が報告されたとんことです.
低血糖114例.そのうち重症低血糖12例.
腎盂腎炎、膀胱炎などの尿路感染症が120例以上.
外陰部膣カンジダ症など性器感染症が80例以上.
皮膚症状は500例以上.そのうち80例以上が重篤な皮膚障害.粘膜に病変を認める重篤なスティーブンス・ジョンソン症候群1例.
脳梗塞が12例.
心筋梗塞・狭心症6例.
重症の脱水15例.
Recommendation の7項目は,次のとおりです.
「1.インスリンやSU 薬等インスリン分泌促進薬と併用する場合には、低血糖に十分留意して、それらの用量を減じる(方法については下記参照)。インスリンとの併用は治験で安全性が検討されていないことから特に注意が必要である。患者にも低血糖に関する教育を十分行うこと。
2.高齢者への投与は、慎重に適応を考えたうえで開始する。発売から3ヶ月間に65歳以上の患者に投与する場合には、全例登録すること。
3.脱水防止について患者への説明も含めて十分に対策を講じること。利尿薬との併用は推奨されない。
4.発熱・下痢・嘔吐などがあるときないしは食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には必ず休薬する。
5.本剤投与後、薬疹を疑わせる紅斑などの皮膚症状が認められた場合には速やかに投与を中止し、皮膚科にコンサルテーションすること。また、必ず副作用報告を行うこと。
6.尿路感染・性器感染については、適宜問診・検査を行って、発見に努めること。問診では質問紙の活用も推奨される。発見時には、泌尿器科、婦人科にコンサルテーションすること。
7.原則として、本剤は当面他に2剤程度までの併用が推奨される。」
谷直樹
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