弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

ニューヨーク州が製薬会社アクタビスを「ナメンダ」から「ナメンダXR」への切り替えで提訴

WSJ「NY州がアクタビスを提訴、アルツハイマー病薬早期撤退に異議」(2014 年 9 月 17 日)は,次のとおり報じました.

「米ニューヨーク州のシュナイダーマン司法長官が米製薬会社アクタビスを提訴した。アルツハイマー病治療薬「ナメンダ」を早期に市場から撤退させ、新しい徐放性カプセル「ナメンダXR」を販売するというアクタビスの計画は、後発版との競争を避け同社の利益を守ることが目的だと主張している。

 訴状によると、ナメンダが販売されなくなれば患者はさらに高価なナメンダXRの投薬を受けることになり、来年ナメンダの後発薬が出回ってもこれに切り替えることが難しくなる。

 アクタビスは自社の方針により係争中の訴訟にはコメントしないとした上で、徐放性のナメンダXRがアルツハイマー病患者と関わる医師や介護者から高い評価を受けていると述べた。

 シュナイダーマン司法長官は、アクタビスがナメンダXRへの切り替えの根拠として、1日2回でなく1回の投与で済むためナメンダより優れていると説明したことにも異議を唱えている。

 アクタビスは今年実施した250億ドル(約2兆6800億円)でのフォレスト・ラボラトリーズ買収を通じてナメンダを取得した。フォレストは2004年から同薬の独占販売権を保有している。ナメンダの特許は来年失効し、7月には後発版が登場する見通し。

 シュナイダーマン司法長官によると、州の代替調剤法では通常、薬剤師は処方箋にある治療薬の後発版を、医師からの許可なく調剤することができる。だが薬剤師は2つの医薬品が同じ有効成分を含有していても、医師の許可なしにナメンダXRの代わりにナメンダの後発版を調剤することはできない。

 その結果、患者が後発薬への切り替えを選択することが難しくなり時間がかかってしまうと司法長官は主張している。医薬品小売業者のウェブサイトによると、ナメンダXRの月間費用は約300ドルだが、後発薬ならはるかに安価となる。

 アクタビスはナメンダの売上高の内訳を示していないが、リーリンク・スワンのアナリストは、2014年下半期のナメンダとナメンダXRの売上高は合わせて8億ドル、来年には13億8000万ドルになると予想している。」


製薬会社の後発薬対策に州が異議を唱えた訴訟ですので,帰趨が注目されます.

谷直樹

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by medical-law | 2014-09-18 09:50 | 医療事故・医療裁判