弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

文部科学省による法科大学院5段階分類

文部科学省は,司法試験の合格率などを指標にして法科大学院を5段階(5ランク?)に分類した一覧を公表しました.
この5段階分類に基づき,現行の補助金の90~50%を基礎額として交付するとのことです.

90% 北海道大、東北大、筑波大、東京大、一橋大、名古屋大、京都大、大阪大、学習院大、慶応義塾大、上智大、中央大、早稲田大

80% 千葉大、横浜国立大、神戸大、九州大、成蹊大、創価大、愛知大

70% 岡山大、琉球大、立教大、同志社大、甲南大

60% 金沢大、静岡大、広島大、熊本大、青山学院大、東洋大、日本大、法政大、明治大、神奈川大、山梨学院大、中京大、南山大、名城大、立命館大、関西大、近畿大、関西学院大、西南学院大、福岡大

50% 北海学園大、国学院大、駒沢大、専修大、桐蔭横浜大、愛知学院大、京都産業大

なお,補助金を受けていない大阪市立大と首都大学東京は分類対象外です.


このように司法試験の合格率が低いと補助金が減らされることになると,法科大学院が司法試験予備校化してしまうことにならないでしょうか.

本来,法科大学院修了者はほぼ全員が司法試験に合格し法曹になる,それを前提に法科大学院は実務法曹養成のための教育を行う,という制度設計だったはずです.
法科大学院修了者が司法試験合格レベルにすら達していない現状が問題であるとするなら,それを改善するためには,法科大学院の教育内容を充実すると同時に,法科大学院入学・修了者数を大幅に減らす必要があるでしょう.

平成26年度の法科大学院入学者数は2272人ですが,法科大学院受験者が減っていることも考えると,まだ多すぎると言えるのではないでしょうか.
入学定員充足率が100%以上の法科大学院は,筑波大,千葉大,一橋大,京都大,大阪大,首都大学東京で,神戸大(96%),東京大(93%),中央大(88%),名古屋大(87%),慶應義塾大(87%),東北大(86%)が続いています.
他方で,入学定員充足率が20%以下の法科大学院も多く,これら入学定員充足率が低い法科大学院は存続が困難になっているのではないか,と思います.

法曹が魅力のある職業にならないと,負のスパイラルが続き,法科大学院の落日は止められないように思います.


谷直樹

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by medical-law | 2014-09-20 05:10