鹿児島地裁平成26年10月29日判決,急性心筋梗塞診断義務違反で鹿児島市立病院に賠償命令(報道)
「鹿児島市立病院で2009年、女性=当時(40)=が死亡したのは急性心筋梗塞を発症していたのに適切な治療をしなかったからだとして、遺族らが鹿児島市を相手に約8000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、鹿児島地裁であった。吉村真幸裁判長は「急性心筋梗塞と診断し、適切な検査と治療を施す義務があったのに怠った」と述べ、市に約7200万円を支払うよう命じた。
吉村裁判長は、遅くとも女性が病院に搬送された翌日には急性心筋梗塞と診断し、必要な治療をする義務があったと指摘。「義務違反がなければ、死亡という結果を回避することができた確率は非常に高い」と判断した。
判決によると、女性は09年9月6日、強い胸の痛みや呼吸の苦しさを訴え、同病院に救急搬送された。2回目の検査で研修医が「急性心筋梗塞の疑い」と診断したが、指導医は8日に退院させた。12日に同様の症状で再度搬送され、14日未明に死亡した。
同病院の児玉哲朗総務課長の話 判決を重く受け止め、今後については弁護士と協議し対応する。」
本判決は,急性心筋梗塞の診断義務,治療との因果関係について参考になるでしょう.
急性心筋梗塞は,放置すると死亡等の重大な結果につながりますので,除外診断しない以上は退院させずに検査を行うべきで,指導医より研修医の判断のほうが正しいでしょう.研修医にも分かることが分からない指導医には過失があると言えるでしょう.
なお,吉村真幸判事は,横浜地裁,東京地裁,東京高裁,最高裁を歴任している裁判官です.
2008年8月に鹿児島県薩摩川内市の市立下甑手打診療所に入院中だった夫と同室でアルコール依存症の男性患者に頭を殴られてけがをし障害が残った女性に対し市が解決金2千万円を支払うことで鹿児島地裁で裁判上の和解が成立(平成25年1月9日)したことが報じられていましたが,そのときの裁判長です.
谷直樹
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