弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大学病院、医療ミスで誤って肺の一部を切除されたと提訴される(報道)

産経新聞「熊本大病院で肺を誤切除 「生活に支障」と女性が提訴」(2014年11月10日)は、次のとおり報じました.

「熊本大病院(熊本市)の医療ミスで誤って肺の一部を切除され、呼吸機能が低下し、日常生活に支障が出たとして、熊本県の50代の女性が10日までに、大学に約2600万円の損害賠償を求める訴訟を熊本地裁に起こした。提訴は10月2日付。

 病院は昨年、肺がんの男性患者とこの女性の検体を取り違え、女性の右肺の一部を切除したと発表し、女性に謝罪した。女性の弁護士によると、大学側と慰謝料について交渉したが合意できなかったため提訴した。

 訴状によると、女性は昨年8月に手術を受けた。病院が切除した肺の検査をすると、がん細胞は見つからなかった。呼吸のしづらさや胸の痛みが残り、勤務先を辞めざるを得なかったと主張している。

 熊本大病院は「係争中なのでコメントは差し控える」としている。」


j熊本日日新聞「健康な肺切除、女性が熊本大提訴 損害賠償請求」 (2014年11月10日)は、次のとおり報じました.

「熊本大病院が昨年8月、手術の必要のない50代女性の健康な肺を切除した医療事故で、女性が10日までに、同大に約2600万円の損害賠償を求める訴訟を熊本地裁に起こした。同病院は昨年9月、事故を公表し、女性に謝罪している。

 同病院の発表によると昨年6月、肺がんの疑いがあった80代男性とこの女性の肺から検体を採取し、標本を作製。この標本が入れ替わったため、女性を「肺がん」と誤って診断。同年8月、右肺下部の3分の1程度を切除した後、誤りに気付いた。

 訴状で女性側は「あってはならない基本的な注意義務違反で、精神的苦痛も甚大」と主張。手術後、右脇の痛みや呼吸しづらいなどの後遺障害があり、仕事への復帰を断念したとして、逸失利益や慰謝料を請求している。提訴前、大学側から賠償額350万円を提示されたが「実態とあまりに懸け離れている」としている。

 熊本大病院は「事故の内容は昨年発表した通りだが、訴訟になったのでコメントは控えたい」としている。(中村勝洋)」


がんの見落とし(多くは画像検査の報告書を見ていない例が多いです)と、その逆にがんではないものを誤って切除する場合があります.
本年は、検体の取り違えですから、注意義務違反(過失)は否定できないでしょう.
問題は損害評価ですが、労働能力に大きな影響があって退職している場合では、それ相応の金額になるでしょう.


谷直樹

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by medical-law | 2014-11-11 00:28 | 医療事故・医療裁判