映画『水曜日のエミリア』

弁護士は,ゆりかごに移すよう言われたにもかかわらずゆりかごに移さず生後3日の乳児が亡くなったことで,窒息させたのではないか,と罪の意識に苦しみますが,小児科医から窒息の兆候がなく100%SIDSであると言われ救われます.
SIDS(乳幼児突然死症候群)の疾患概念は,家庭内での乳児の死亡が窒息によるものではない,として母親を免責する機能を果たしていました。そのことを思い起こさせるシーンでした.
病院等で乳児が亡くなり,遺族が窒息を主張し,病院等がSIDSを主張する,そのような裁判が数多くあり,そこではSIDSは病院等を免責する役割を果たしてきました。しかし,病院等にパルスオキシメーター等による観察義務を認めれば,SIDSによる死亡は回避できますので,SIDS即免責とはなりません.
法的には死は「損害」でしかありません.亡くなった者は消えるだけ(最後の審判の日に復活)というユダヤ教の宗教観を述べる弁護士に対し,小児科医と先輩弁護士の間の子は仏教の輪廻転生を述べ,長生きして亡くなった妹の生まれ変わりを見つけると言います.仏教の輪廻転生の考え方は,死には転生の意味を付与しますので,死を受容しやすくする機能があるのかもしれません.
谷直樹
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