弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大学病院,十二指腸粘膜下腫瘍の腹腔鏡手術でも患者死亡,医療過誤認める(報道)

毎日新聞「群馬大病院:別の科でも患者死亡…腹腔鏡手術でミス」(2014年11月18日)は,次のとおり報じました.

「腹腔鏡(ふくくうきょう)手術を受けた患者8人が相次いで死亡していたことが発覚した群馬大医学部付属病院(前橋市)で、別の科で十二指腸粘膜下腫瘍の腹腔鏡手術を受けた群馬県在住の男性患者(当時50代)も手術中のミスで今年2月に死亡していたことが分かった。同病院が18日、記者会見して明らかにした。遺族には謝罪したという。

 病院によると、男性は昨年4月、腫瘍を取り除くため、第1外科で40代の男性医師による腹腔鏡手術を受けた。難航したため途中で開腹手術に変更したが、別の臓器が傷つき、術後に容体が悪化した。患者は11カ月後に、肝不全で死亡した。

 病院は記者会見で、▽手術中のミスで重い肝障害を招いた▽術後の処置も適切ではなかった−−と医療過誤を認めた。腹腔鏡手術は保険適用外の手術だが、執刀医は必要な院内の倫理審査を受けておらず、本人や家族にも難手術であることを説明していなかった。執刀医と50代の男性指導医は今年3月に病院を辞めた。【尾崎修二】」


群馬県には,大学病院は群馬大学医学部附属病院しかありません.1県に1大学病院しかないところでは,患者側は実質的に選択の余地がなく,県内唯一の頂点である大学病院の医師に言われるがままに手術を受けざるを得ないことも少なくないように思います.
難度の高い保険適用外の手術について,院内のチェックが機能せずに実施されていたことから,当該医師の問題のみならず,病院の体制についても検討されるべきではないでしょうか.


谷直樹

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by medical-law | 2014-11-19 01:07 | 医療事故・医療裁判