弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

沼津市の病院,看護師がカリウム製剤を希釈せずに静脈に注射した事案で死亡との因果関係を認め謝罪(報道)

時事通信「希釈せず投薬、88歳患者死亡=看護師が静脈注射-沼津市立病院」(2014年11月20日)は,次のとおり報じました.
 
「静岡県の沼津市立病院で10月、男性看護師(28)が薬剤を希釈せずに投与し、入院中の女性患者=当時(88)=が死亡する医療事故があったことが20日分かった。同日開かれた市議会民生病院委員会に、病院側が報告した。
 同病院によると、事故は10月3日に発生。主治医は患者のカリウム不足を補うため、薬剤「カリウム製剤」の濃度を薄めて点滴投与するよう指示したが、男性看護師は希釈せずに誤って静脈に直接注射してしまったという。患者は直後に死亡した。
 男性看護師は「危険な薬剤という認識はあったが、次の作業に気を取られていた」と話しているという。
 同病院は、外部委員を含む医療事故調査委員会を設置。投与法のミスによって患者が死亡した可能性が高いと判断し、遺族に謝罪した。」


以前から,カリウム製剤について同様の事故が起きています.投薬ミスが死亡に直結しますので,慎重に取り扱っていただきたく,実効的な再発防止策がとられることを期待します.

谷直樹

【追記】

中日新聞「投薬ミスで女性死亡 沼津市立病院の看護師が原液注入」(2014年11月21日)は,次のとおり報じました.

「沼津市立病院(後藤信昭院長)は二十日、腸炎で入院した女性患者(88)に、男性看護師(28)が薬剤を希釈せずに誤って投与したために死亡したと、市議会民生病院委員会に報告した。通報を受けた沼津署は、業務上過失致死容疑を視野に女性患者が死亡した経緯などを調べている。

 病院によると、女性は八月二十五日に入院。利尿剤の使用に伴い血液中のカリウムが不足していたため、医師が十月三日、看護師にカリウムを調整する「カリウム製剤」を点滴で薄めて投与するよう書面で指示した。しかし、看護師は原液をそのまま注入し、女性は投与の直後に死亡した。

 病院によると、カリウム製剤は薄めて使わなければならない危険性の高い薬。看護師は危険性を承知していたが、「次の仕事のことで頭がいっぱいだった」と話しているという。

 病院は事故後、外部の医師や弁護士らでつくる事故調査委員会を設置し、今月になって当時の記録などから投与ミスと死亡の因果関係を認める判断をした。

 再発防止策として、病院は現行のカリウム製剤を全て廃棄するなどした。後藤院長は「病院として重大な責任を感じている。再発防止に努めたい」と話した。

 病院によると、沼津署は十月に通報を受けた後、病院のモニターなどの提出を受けている。」



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by medical-law | 2014-11-20 20:15 | 医療事故・医療裁判