弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

医療安全情報No.96 インスリン注入器の取り違え

公益財団法人日本医療機能評価機構は、2014年11月17日、「医療安全情報No.96 インスリン注入器の取り違え」を発表しました.

「インスリン注入器の患者名の記載が不十分、または氏名の記載がなかったため、別の患者の注入器と取り違えた事例が報告されています。

事例 1
患者Aにヒューマログ注カート3単位を皮下注射する指示が出ていた。看護師Xは注射伝票で指示を確認後、インスリン注入器を確認したところ、患者Aの氏名が書かれたキャップの本体にヒューマログミックス50注カートのカートリッジが付いていた。指示とは違うインスリンであったため、指示受けをした看護師Yに「これで大丈夫?」とインスリン注入器を見せた。看護師Yはキャップに書かれた氏名を見て「大丈夫」と答え、看護師Xは患者Aにヒューマログミックス50注カートを皮下注射した。複数の患者のインスリン注入器をまとめて保管していた際に、患者Aと患者Bのインスリン注入器のキャップが入れ替わっていた。

事例 2
夜、患者Aに翌朝からノボラピッド注フレックスペンを注射する指示があり、夜勤看護師Xは薬局より受領した。未使用の注入器は伝票と一緒に輪ゴムで止めて保管することになっており、氏名のシールを注入器に貼付せずそのまま保管した。患者Bのノボラピッド注フレックスペンは、インスリン注入器に患者名のシールを貼付せず、患者Bの薬袋に入れて保管していた。
当日の朝、看護師Xは血糖値の測定後、患者氏名のないノボラピッド注フレックスペンを患者Aのものと思い込み、使用した。その後、日勤看護師Yが、患者Aのノボラピッド注フレックスペンが使用された形跡がないことに気づき、誤って患者Bの製剤を使用したことが分かった。

事例が発生した医療機関の取り組み
・キャップをはずしても患者名がわかるよう、インスリン注入器の本体に、患者の氏名を記載する。
・投与前に、患者氏名、患者のインスリン注入器、注射指示書を必ず確認する。」


注入器の本体に氏名を書かないと入れ替わってしまうことが起き得ます.
他の施設でも起こり得るミスです.

谷直樹

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by medical-law | 2014-11-22 01:04 | 医療事故・医療裁判