弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

富士市の病院,乳がんを疑わせる悪性所見を見逃し800万円賠償へ(報道)

TNC「<富士市>中央病院検査、がん見落としで賠償へ」(2015年2月12日)は,次のとおり報じました.
 
「富士市は10日、市立中央病院が女性患者(51)のがん検査で悪性所見を見落としたとして、800万円の賠償金を支払うと発表した。2月定例会に関連議案を提出する。

 同病院によると、女性は2007年10月、右乳房の腫瘍を自覚し外来を受診。医師は、細胞検査などの結果、経過観察と伝えた。12年11月の定期検査で乳がんを疑わせる悪性の所見が認められ、病院が過去の記録を精査したところ、07年の診断で見落としていたと判明した。病院は女性に謝罪。女性は県立総合病院で治療を受け、現在再発などはみられないという。【高橋秀郎】」


 検査で,乳がんを疑わせる悪性所見(カテゴリー3)を見逃したら,注意義務違反(過失)が認められると考えるべきでしょう.2007年の時点で見つかっていれば,2012年から治療を始めるのとは異なった経過をたどったと考えられます.再発がないなど,具体的な身体的損害が認定できなくても,上記の事情のもとでは,一定金額の賠償が相当です.乳がんを疑わせる悪性所見の見落としの場合,いろいろなケースがありますが,800万円は平均的な賠償金額です.

  谷直樹

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by medical-law | 2015-02-12 18:50 | 医療事故・医療裁判