中津川市の病院,誤って大腸に穴をあけ卵管を傷つけ人工肛門となった事案で5012万円和解
「おととし10月、産婦人科の医師が流産の恐れがある30代の女性の子宮内の組織を取り除いた際、誤って大腸に穴をあけ、卵管も傷つけたということです。
女性が処置後に腹痛などを訴えたため1週間後、腹部を開いて確認したところ損傷がひどく、人工肛門が必要になったほか自然妊娠もできなくなったということです。
このため病院側は過失と認め、今月10日、5012万円の賠償金を支払うことで患者と和解したということです。
中津川市民病院の安藤秀男病院長は「患者ならびに家族に身体的苦痛、精神的苦痛を与えたことを深く反省しお詫びします」と陳謝し再発防止を図りたいとしています。」
報道の事故は,大腸に穿孔が生じ,人工肛門による直腸機能障害(社会生活活動制限)という後遺障害が生じた事案のようです.この後遺症が第7級5号「胸腹部臓器に機能に障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの」にあたるとすれば,後遺症慰謝料1000万円と労働能力喪失率56%に基づく逸失利益に,自然妊娠できない障害を加算することになり,少なくない金額になるはずです.
報道の事案は和解解決ですので判決よりかなり低い金額になっていると思いますが,賠償金5012万円は,今後,同種事案の示談解決・和解解決に際して参考となるでしょう.
【追記】
中日新聞「産科手術医療事故で和解 中津川市民病院」(2015年2月15日)は,次のとおり報じました.
「岐阜県の中津川市民病院は13日、妊娠初期の患者への手術後の処置にミスがあったと発表した。過失を認め、病院を運営する中津川市は慰謝料など約5千万円を支払うことで和解した。
病院によると、2013年8月、県内在住の30代女性を妊娠四週程度と診断したが、胎児の発育が確認されなかった。胎盤の一部が増殖して子宮内を圧迫する「胞状奇胎」の疑いがあり、9、10月に子宮からチューブで増殖した細胞を吸引する手術を2回実施した。
その後、女性は発熱と腹痛を訴え、点滴でも改善しなかった。2度目の手術から1週間後に開腹すると、子宮や大腸や卵管が損傷していることが分かった。大腸の損傷は激しく人工肛門の装着を余儀なくされた。女性は自然妊娠もできなくなった。
病院はより早く開腹すれば人工肛門の装着は不要になった可能性があるなどとして過失を認めた。安藤秀男病院長は会見で「本人や家族に多大な苦痛を与え、心からおわびしたい」と謝罪。手術の際に超音波画像診断装置で確認する防止策を行うとした。」
谷直樹
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