弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

広島地裁平成27年2月17日判決,受刑者に花粉症治療を受けさせなかった刑務所(国)に7万円賠償(報道)

毎日新聞「広島刑務所:元受刑者の花粉症症状悪化 国が一部敗訴」(2015年2月17日)は,次のとおり報じました.
 
「花粉症の治療を受けられず症状が悪化し精神的苦痛を受けたとして、広島刑務所(広島市中区)の元受刑者の男性が国に慰謝料50万円を求めた訴訟の判決が17日、広島地裁であり、梅本圭一郎裁判長は「治療させなかった刑務所長の判断は裁量権を逸脱している」として国に7万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は2012年1月から服役。14年3月以降、4回にわたり花粉症の症状を訴えた。しかし、医師は「すぐに治療をする必要性はない」などとして診察せず、4月10日に治療を受けるまで目のかゆみや鼻水に悩まされた。
  
 梅本裁判長は「花粉症は初期療法が有効」と指摘し、「医師が早く診察や治療をしていれば、症状の軽減や悪化を防ぐことができた」と結論付けた。」


 私には,花粉症のつらさはたいへんよく分かります.
 この医師は,花粉症のつらさが分からなかったのかもしれませんが,診察せず放置していたのはさすがにひどいと思います.
 賠償金は7万円ですが,今後,受刑者が花粉症を訴えたとき,医師が放置することはできなくなりますから,大きな意義のある判決です.


  谷直樹

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by medical-law | 2015-02-18 03:11 | 医療事故・医療裁判