弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

最高裁が大法廷回付、民法750条と733条について憲法判断へ

民法第750条は、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」と定めています.平成八年二月二十六日法制審議会総会決定の「民法の一部を改正する法律案要綱」は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称するものとする。」となっていますが、未だに改正は実現していません.東京高裁は民法第750条について違憲ではないと判決し、上告されました.

民法第733条は、「女は、前婚の解消又は取消しの日から六箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。」と定めています.平成八年二月二十六日法制審議会総会決定の「民法の一部を改正する法律案要綱」は「女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができないものとする。」となっていますが、未だに改正は実現していません.広島高裁岡山支部は民法第733条について過剰な制約とは言えず違憲ではないと判決し、上告されました.


最高裁第3小法廷は、平成27年2月18日、それぞれの訴訟について大法廷に回付し、大法廷で審理することにした、と報道されています.
最高裁大法廷で、上記条文の違憲性について判断するようです.

毎日新聞「最高裁大法廷回付:家族の規定に泣いた原告「実情見て」(2015年2月18日)は、次のとおり代理人弁護士のコメントを報じました. 

「夫婦別姓には「家族の一体感が損なわれる」との反対意見が根強いが、国連からも是正を促され続けている。榊原富士子・弁護団長は「一歩進み、うれしい気持ちでいっぱい。『憲法違反』と最高裁に書いてもらいたいのが切なる気持ちだ」と話した。」
「一方、再婚禁止期間の見直しを求めた訴訟を起こした岡山県総社市の女性は、大法廷回付の知らせを聞くと「自分のようにつらい思いをする人がいなくなってほしいと訴訟を起こした。夢に一歩近づいたかな」と喜んだという。暴力を振るう前夫と裁判を経て離婚したが、再婚まで7カ月かかった。代理人の作花(さっか)知志弁護士は「明治期の遺産を、家族観が変わった今にふさわしい憲法判断で改めてほしい」と期待を寄せた。」


NHK「夫婦別姓 最高裁大法廷が憲法判断へ」(2015年2月18日)は、次のとおり代理人弁護士のコメントを報じました.

「弁護団の榊原富士子団長は「結論がどうなるかは分からないが、最高裁の積極的な姿勢を感じる。夫婦別姓のニーズは高まっているので、憲法判断が変わる機は熟していると思う」と話していました。」

別姓訴訟を支える会のサイト」ご参照
弁護士作花知志のブログ」ご参照

法の下の平等(憲法14条)は、とても重要な権利です.
現行民法750条は国際的にも非常に特殊な立法です.
現行民法733条の「六箇月」に根拠はありません.100日で十分です.
時代遅れの民法の規定に憲法違反の判断が下されることを期待します.

  谷直樹

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by medical-law | 2015-02-19 01:40 | 人権