弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

宮崎地裁平成27年3月18日判決,宮崎のカンガルーケア訴訟病院側勝訴(報道)

毎日新聞「新生児抱っこ:残る障害「病院は放置したといえない」判決」(2015年3月18日)は,次のとおり報じました.

「出産後に抱かせる「カンガルーケア」などで病院が新生児を母親に預け放置したため重度の障害が残ったとして、宮崎県の両親が県内の病院に計約2億1650万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、宮崎地裁であった。末吉幹和裁判長は「病院は必要な介助をしており、放置したとはいえない」と請求を棄却した。両親側は控訴する方針。
 判決によると母親は2009年8月20日、帝王切開で女児を出産。約2時間後から病院の産後措置で、母子が一緒にベッドで過ごした。出産から約12時間後、女児が心肺停止状態になっており、「低酸素性虚血性脳症」と診断され自発呼吸ができない状態となった。
 末吉裁判長は、看護師が途中で授乳介助をするなどしており、病院側の注意義務違反はないと判断した。
 判決後、両親は「とても子供を見られる状態でなく、棄却理由が分からない」と話した。病院側は「主張が認められたことはうれしいが、女児の回復を祈りたい」とコメントした。【菅野蘭】」

私は,このえびの市の事件を担当しておらず,上記報道の範囲でしか知りませんが,「必要な介助」の内容として具体的に何を認定するか(義務の範囲の認定)がポイントになると思います.

ところで,カンガルーケアの訴訟を担当している弁護士グループとは別に,私もカンガルーケアの訴訟を担当しています.
今日午後1時20分に大津地裁で開かれる第一回口頭弁論に出頭します.
私が依頼されているのは,2013(平成25)年4月の事案です.
日本周産期・新生児医学会,日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会,日本小児科学会,日本未熟児新生児学会,日本小児外科学会,日本看護協会,日本助産師会は,2012(平成24)年10月17日に,「『早期母子接触』実施の留意点」を公表しています.大津地裁の事案は,この「『早期母子接触』実施の留意点」が参考になる事案です.

【追記】
 えびの市のカンガルーケア訴訟は,平成27年10月14日の福岡高裁宮崎支部判決も病院側勝訴でしした.


  谷直樹

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by medical-law | 2015-03-19 03:09 | 医療事故・医療裁判