医療安全情報 No.101 薬剤の投与経路間違い
事 例 1
リスパダール内用液0.5mLは、皮下注射時に使用する注射器に吸い取られ、針が付いた状態で内服薬用の薬杯の中に準備されていた。看護師は指示を確認しないまま、リスパダール内用液を皮下注射した。翌日の勤務者がリスパダール内用液を患者に内服させた際、患者より「昨日は注射をしてもらった」と発言があった。前日の勤務者に確認したところ、リスパダール内用液を皮下注射したことが分かった。
事 例 2
内視鏡的処置後の患者に、トロンビン液5000単位 1日3回を経口投与の指示が出ていた。看護師は、冷所保存されていたトロンビン液ソフトボトルを内服用薬袋から取り出した。しかし、トロンビン液が経口薬であることを知らず、ボトルの「禁注射」の記載を見て、トロンビン液を注射器に吸い取って静脈注射することが「禁」だと解釈した。その後、指示などを確認しないままボトルを輸液ルートの側管に接続し、静脈注射した。
経口投与のケイツーシロップを静注のために注射器に準備した例,メプチン吸入液ユニットを容器の形から点眼薬だと思った例も報告されています.
私は,薬剤の投与方法を誤った医師の過失を問う裁判を担当しています.その事案では,カルテには古い時代の誤った投与方法(皮下注射)のみが記載されているのですが,被告は訴訟前には「皮下注と同時に筋注した」と説明し,訴訟後には「皮下注と同時に静注した」と主張しています.発生した結果は,皮下注のみの場合に起こります.
投与方法は薬剤が本来効果を安全に生じるため重要です.
谷直樹
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