弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

ストライキを禁止する仮処分を裁判所に申し立てた鈴鹿さくら病院が最高裁でも敗訴(報道)

中日新聞「鈴鹿の病院が争議権を侵害 最高裁で判決確定」(2015年5月23日)は、次のとおり報じました.

 「三重県鈴鹿市の鈴鹿さくら病院の労働組合が、ストライキを禁止する仮処分を裁判所に申し立てたのは争議権の侵害だとして、院長らに損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第三小法廷(木内道祥裁判長)は、病院側の上告を退ける決定をした。19日付。247万円の支払いを命じた二審名古屋高裁の判決が確定した。

 二審判決などによると、労組は2012年8月、「非組合員のみに不透明な手当の上乗せがある」と主張して病院側に時限ストを通告。これに対し、病院側が申し立てたスト禁止の仮処分を津地裁が認めた。

 この訴訟で、病院側は申し立て理由を「入院患者の安全保全のため」と主張したが、高裁はこれを退けストの正当性を認定した。

 原告団の代表で三重一般労働組合(ユニオンみえ)の塩田至執行委員長(65)は、津市役所で記者会見し「経営側が訴訟を用いて組合活動を制限しようとする例が増えている。判決は安易な仮処分申し立てをさせない意味で大きな意義がある」と強調した。」


 本件は私が担当した事件ではありませんが,医療労働者の権利と患者の安全を考えるうえで参考になる判決です.病院が「患者の安全」を主張しても,患者の安全が害されることが立証できない以上労働者の権利であるストを止めることは適法とは言えず,賠償責任を負うことがある,と言えるでしょう.
 
谷直樹


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by medical-law | 2015-05-23 01:39 | 医療事故・医療裁判