大学病院,肺がん手術の止血の糸が外れ大量出血で死亡した事案で提訴される(報道)
「2013年に独協医科大学越谷病院で肺がん手術を受けた春日部市の男性=当時(68)=が死亡したのは病院側の医療ミスが原因だったとして、男性の妻らが8日、同病院を運営する学校法人独協学園と担当医を相手取り、約5600万円の損害賠償を求めてさいたま地裁に提訴した。
訴状によると、男性は13年6月5日、同病院で肺の腫瘍を摘出する手術を受けた。肺の血管を切断する際、止血のために縛った糸が緩んで外れ、肺動脈から大量に出血。翌6日午前に出血性ショックで死亡した。担当医が止血の際に血管を二重に縛らなかったのは、不完全な処理で注意義務を怠ったとしている。
原告側弁護団の猪股正弁護士によると、病院側は出血性ショックの原因は糸が外れたためとしているものの、血管処理について「判断に落ち度はなく、手技的なミスはなかった」と説明しているという。
猪股弁護士は「止血するための糸が外れたら患者の命に関わる。肺血管を処理する際に二重、三重に縛らなかったたのは単純なミスで病院側の責任は重い」と主張。その上で、これまで肺動脈の血管処理で同様の方法を施してきたという病院側の説明に対し「標準的な知見から逸脱している。同様の事故が今後、発生する危険があり看過できない」と訴えた。
同病院の牧尚伸庶務課長は取材に対し「まだ訴状を見ていないのでコメントはできない」としている。病院によると、担当医は14年6月30日付で依願退職しているという。」
産経新聞「肺がん手術で死亡の男性遺族が医師と獨協医大越谷病院提訴」(2015年6月9日)は,つぎのとおり報じました.
「平成25年に獨協医大越谷病院(越谷市南越谷)で肺がん手術を受けた春日部市の男性=当時(68)=が出血性ショックで死亡したのは、医療ミスが原因だったとして、男性の妻らが8日、同院と当時の担当医を相手取り、約5600万円の損害賠償を求める訴えをさいたま地裁に起こした。
原告側代理人によると、男性は25年6月5日に行われた手術で、肺の血管を切断する際に止血のために縛った糸が緩んで外れ、肺動脈から大量出血。6日に出血性ショックにより死亡した。代理人は「病院は血管の2カ所を縛る方法を採用したが、糸が緩めば大量出血が起こる可能性の高い肺血管の処理については、3カ所を縛る方法で行うべきだった」と主張。病院は「過去にも同様の方法で対応しており問題はなかった」と回答したという。
遺族らは同日さいたま市内で会見し、男性の長女は「この病院で手術を受けたことを今でも悔やんでいる。父が戻ることはないが、病院はミスを認め真摯(しんし)に再発防止に取り組んでもらいたい」と話した。
同院の牧尚伸庶務課長は「訴状を見ておらずコメントできない。担当医は26年6月30日付で依願退職したので、病院としてのコメントは出せない」としている。」
この報道の件については私は担当していませんが,以前に私が担当した別の病院の事件と似ています.肺動脈の断端の結紮はしっかり行う必要があります.単結紮は,糸が外れる危険がありますので,動脈の断端の結紮には適しません.二重結紮、三重結紮でも糸が外れることがあります.刺通結紮は,最も糸が外れにくい方法です.
谷直樹
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