弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大谷レディスクリニック,559人に着床前受精卵遺伝子スクリーニング(PGS)を実施し、低流産率報告

日本産科婦人科学会は、着床前受精卵遺伝子スクリーニング(PGS)を認めていません.日本産科婦人科学会主導で、原因不明習慣流産症例に対する臨床試験が行われようとしている段階です.対象が広がり、命の選別につながるおそれがある、デザイナーベイビーがつくられるおそれがある、など倫理的な問題が指摘されているからです.

ところが、大谷レディスクリニックの大谷徹郎院長は、2015年6月26日、日本遺伝カウンセリング学会で、2011年2月から着床前受精卵遺伝子スクリーニング(PGS)を実施し、流産率低下を実現している、と報告しました.
体外受精をしても妊娠しなかったり、流産を繰り返したりした女性(平均年齢は40.4歳)559人に、着床前受精卵遺伝子スクリーニング(PGS)を実施したところ、327人で正常な受精卵が得られ、その受精卵を子宮に戻した結果、合わせて246回妊娠し、流産は24回(9.8%)だったと報告しました.

NHK「不妊治療 559人に指針外の着床前検査」(2015年6月26日)は次のとおり伝えました.

「大谷レディスクリニックの大谷徹郎院長は、「流産を減らせる有効な治療だと考えている。精神的にも肉体的にもつらい思いをしている患者のために行った」と話しています。
日本遺伝カウンセリング学会の齋藤加代子理事長は、「患者のためなら何をやってもよいとすれば、倫理的に大きな問題が起こりえる。この技術は命の選別につながるおそれもあり、議論はまだ尽くされていないと考えている」と話しています。」


たしかに流産する妊娠を減少させることはできるのでしょうが、着床前受精卵遺伝子スクリーニング(PGS)を治療に用いるのは、クリアしなければならない問題があり、時期早尚ではないかと思います.


谷直樹



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by medical-law | 2015-06-27 11:37 | 医療