弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

神戸市の病院,1983年のガーゼ遺残事故について800万円賠償で訴訟上の和解(報道)

産経新聞「体内にガーゼ放置の男性 神戸の病院と和解」(2015年7月16日)は,次のとおり報じました.

「神戸市長田区の市立医療センター西市民病院で手術を受けた40代の男性が、ガーゼが体内に取り残されて腫瘍ができ、摘出手術で後遺症が生じたとして、運営する神戸市民病院機構に約1900万円の損害賠償を求めた訴訟があり、16日までに機構が800万円を支払うことで神戸地裁で和解した。9日付。

 訴状によると、男性は1983年12月、市立西市民病院(当時)で腎臓手術を受けた際、腹部にガーゼが残った。腫瘍が見つかったため2012年11月に摘出手術を受け、腫瘍はガーゼを覆うようにできたものと確認された。摘出手術時に神経の一部も取り除いたため、左足にしびれや痛みが残った。

 機構は「記録が残っておらず手術した証拠がない」と反論していたが、「双方の主張が平行線をたどったため、早期解決を図った」と和解した。」


本件は,私が担当した事案ではありません.
私も異物遺残事故の基づく賠償請求を担当したことがありますが,報道の件のように手術したこと自体を否認されるのは珍しいと思います.
年月が経つと,たしかに客観的証拠が散逸し,立証が困難になることは理解できますので,判決ではなく和解が適切でしょう.
800万円という和解金額は,立証の困難性を考慮して,本来の賠償額を割り引いたものと思います.

谷直樹


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by medical-law | 2015-07-16 20:58 | 医療事故・医療裁判