弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

高松高裁平成27年7月24日判決,MRI検査等不実施・誤診の病院に330万円賠償命令(報道)

高知市の近森病院の医師が,2007年に搬送された香美市の女性(当時89歳)に脳梗塞を疑うべき症状がありながらMRI検査などを実施せずてんかんと誤診した事案で,高知地方裁判所は請求棄却の判決を下しましたが,控訴審の高松高裁(吉田肇裁判長)は,平成27年7月24日,社会医療法人近森会に対し慰謝料30万円と弁護士費用30万円の損害賠償の支払いを命じたことが報道されています.
私が担当した事件ではありませんので,詳細は不明ですが,「医師がMRI検査などを実施していれば、脳梗塞の発症を回避するか、後遺障害が残らない、あるいは軽減された可能性が相当程度ある」(NHK)という報道もあり因果関係について相当程度の可能性を認めたかのようにもとれますが,過失を認め因果関係を否定し期待権侵害で300万円の慰謝料と30万円の弁護士費用を認めたもののようです.

最高裁平成23年2月25日判決(民集第236号183頁)は,「当該医療行為が著しく不適切なものである事案」について,「医師が,患者に対し,適切な医療行為を受ける期待権の侵害を理由とする不法行責任を負うことがある」ことを認めています.


谷直樹


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by medical-law | 2015-07-29 01:29 | 医療事故・医療裁判