認知症の高齢者への抗精神病薬で重い副作用の危険(報道)
「認知症の高齢者に抗精神病薬 重い副作用も
はいかいなどの症状が出た認知症の高齢者に「抗精神病薬」と呼ばれる薬が投与された結果、寝たきり状態になるなどの重い副作用が出ていたケースがあることがNHKが専門医を対象に行ったアンケート調査で明らかになりました。「抗精神病薬」は慎重な使用が求められている薬で、厚生労働省は使用に関するガイドラインを見直し、副作用に対する注意喚起などを詳しく盛り込む方針を決めました。
これはNHKがことし6月、認知症の診断や治療について、日本認知症学会と日本老年精神医学会に所属する専門医を対象に行ったアンケート調査で明らかになりました。
回答した531人のうち、66%に当たる351人の専門医が診療している認知症の高齢者について、前に受診していた施設で「抗精神病薬」を投与され副作用が出ていたケースがあると答えました。
抗精神病薬は、はいかいや暴力行為などBPSDと呼ばれる症状を抑えるために家族などの求めに応じて使われることもありますが、国のガイドラインでは「基本的には使用しないという姿勢が必要」と定められ、慎重な使用が求められています。アメリカでも死亡率を高めるとして使用を控えるよう警告が出されています。
アンケートで具体的な副作用について尋ねたところ、薬の効きすぎで活動が鈍くなったり寝たまま、ぼーっとしたりする「過鎮静」を挙げた専門医が多く、中には歩くことが難しくなり寝たきり状態になったり、食事を飲み込む機能が低下したため、腹部に穴を開け、管から栄養を取ったりする深刻なケースもあったということです。多くの場合、薬を減らしたりやめたりすることで症状が改善したということです。
厚生労働省は、こうした実態を踏まえてガイドラインを見直す方針を決め、介護のしかたで症状を和らげるなど薬に頼らない対応の重要性を強調したうえで、副作用についての注意喚起をするほか、薬を使わざるをえない場合は用量や期間を定期的に見直すことなどを詳しく盛り込むことを検討しています。
日本老年精神医学会の理事長で順天堂大学の新井平伊教授は「認知症の人を介護をする家族の負担が大きく薬を使わざるをえない現状があるが、抗精神病薬は少量で短期間使うことが原則だ。かかりつけ医や専門医、それに介護職が連携して、薬以外の治療も含めて対応できるように態勢整備が必要だ」と話しています。
認知症に伴うBPSDとは
認知症に伴って、BPSDと呼ばれる幻覚や妄想などの心理症状やはいかい、それに暴力行為などの症状が出ることがあります。BPSDは必要な介護サービスを利用したり、家族の対応のしかたを変えたりすることなどで改善する場合もあります。しかし、BPSDが激しい場合は介護をする家族の負担も大きく、症状を安定させるために抗精神病薬などの精神科の薬が使用されているのが実態です。
医療経済研究機構が平成22年までの8年間に認知症の高齢者およそ1万5000人を対象に調査を行ったところ、5人に1人に抗精神病薬が処方されていました。認知症の高齢者への「抗精神病薬」の投与について、アメリカでは10年前、感染症や脳血管障害などによって死亡率が1.7倍程度高くなったとして使用を控えるよう警告が出されています。
抗精神病薬によるBPSDの治療法が確立していないため、日本では保険適用は認められていませんが、医療現場では処方箋に精神疾患など別の病名を書き抗精神病薬が処方されているのが実態です。こうしたことを受けて、厚生労働省は2年前、抗精神病薬などの使用に関するガイドラインを策定しています。
この中では基本的にはBPSDの治療に抗精神病薬は使用しないという姿勢が必要だとしたうえで、やむをえず使用する場合は、複数の薬を併用しないことや、歩行障害などの副作用が出た場合は直ちに薬を減らすか中止することなどを盛り込んでいます。」
医療慣行と医療水準は異なります.
BPSDに向精神薬が使用されることが多いとしても,当該事案における向精神薬の使用に合理性(副作用の危険を上回る有用性)が認められなければ,医療水準とは言えないと思います.
谷直樹
ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
↓
にほんブログ村 」