弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

救急救命士が心静止と思い込み除細動器を使用せず,乳児死亡(報道)

毎日新聞「救急搬送:心肺停止状態…隊員が判断誤り乳児死亡」(2015年8月17日)は,次のとおり報じました.

「長崎県佐世保市消防局は17日、心肺停止状態となった生後10カ月の男の乳児を救急搬送中に心電図を見誤り、電気ショックで心拍再開を図る除細動器を使用しない救命措置の手順ミスがあったと発表した。乳児は病院到着後に死亡が確認された。消防局は8、12日に遺族に謝罪した。

 消防局によると、7月28日午後9時25分ごろ、佐世保市内の乳児の家族から「ミルクを飲んだ後に子供が反応しなくなった」と119番があった。搬送中に30代の救急救命士が人工呼吸をしながら、心電図を確認した。電極が全て乳児に付いていないうちに、平らな波形を見て心臓が動いていない「心静止」と誤認。50代の隊員が心臓マッサージしながら市内の病院に運んだ。

 いったん乳児の呼吸と心拍が再開したが、29日午前5時ごろ死亡が確認された。

 病院からの問い合わせで心電図をチェックした結果、心静止ではなく、心臓がけいれんしている「心室細動」だったことが判明した。長崎県の心肺停止対応業務手順は、心臓マッサージ中は定期的に一時停止して、心電図の波形の変化を確認しなければならないとしている。50代の隊員は心静止と思い込んで確認を怠り、心室細動の際に必要な除細動器を使わなかった。

 田崎東・市消防局長は記者会見で「再発防止に向け手順の再確認と隊員の教育に取り組む」と述べた。【峰下喜之】」


心室細動については,できるだけ早く除細動器を使用することが必要です.除細動の成功・不成功は分単位です.「心静止」と思い込み,除細動を試みなかったことはとても残念です.

谷直樹


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by medical-law | 2015-08-18 03:45 | 医療事故・医療裁判