弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

日本医師会/日本医学会,「HPVワクチン接種後に生じた症状に対する診療の手引き」

公益社団法人日本医師会/日本医学会による「HPVワクチン接種後に生じた症状に対する診療の手引き」が2015年8月公表されました.

「ワクチン接種直後から、あるいは遅れて接種部位や接種部位と異なる部位の持続的な痛み、倦怠感、運動障害、記憶など認知機能の異常、その他の体調の変化等を訴える患者が受診した場合は、HPVワクチン接種との関連を疑って症状を訴える患者がいることを念頭に置いて診療する。」
「診療上、患者の行き場が無くなる状況とならないように、主治医が決まるまでは自分が責任を持って対応する。」

と記載されています.

鑑別診断について,
「●痛みの一般的鑑別として、①侵害受容性の痛み(組織傷害や炎症による痛み)と②神経障害性の痛み(注射行為による末梢神経の傷害や神経系のその他病変によって引き起こされる痛み)の可能性を考慮し、鑑別する。
 その他、患者の精神的な異常状態から発症する心因性の痛みも鑑別する必要があるが、「心因」という言葉が、器質的な病態の存在を全否定し、詐病的あるいは恣意的であると誤解されやすい事から、患者・家族も認める明らかな精神的問題を認める特殊な場合を除き、「心因」という表現は用いない。
●痛みを伴う稀な疾患として、思春期を中心とする対象年齢では、代謝疾患、悪性新生物、肢端紅痛症、レイノー病、成長痛、慢性反復性多発骨髄炎、ビタミンD欠乏症、甲状腺機能亢進・低下症などがあるが、いずれも頻度は少ないため地域の医療機関で全ての患者に検査を行うのではなく、これらを疑う場合に、協力医療機関や専門医療機関に紹介することを検討する。」

とされています.

HPVワクチン接種後に生じた多様で深刻な症状に苦しむ患者への理解がすすむことを期待します.

谷直樹


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by medical-law | 2015-08-25 05:53 | 医療