弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

JRC蘇生ガイドライン2015オンライン版

日本蘇生協議会(JRC)は,2015年10月16日,JRC蘇生ガイドライン2015オンライン版を公表しました.国際蘇生連絡委員会(ILCOR)による2015 Consensus on Science with Treatment Recommendations (CoSTR)に基づいて作成したガイドラインです.

以下の「JRC 蘇生ガイドライン2015 のBLS についての重要なポイント」は,私たち一般市民も知っておいたほうがよいと思いました.

「・ 訓練を受けていない救助者は、119 番通報をして通信指令員の指示を仰ぐ。一方、通信指令員は訓練を受けていない救助者に対して電話で心停止を確認し、胸骨圧迫のみのCPR を指導する。

・ 救助者は、反応がみられず、呼吸をしていない、あるいは死戦期呼吸のある傷病者に対してはただちに胸骨圧迫を開始する。心停止かどうかの判断に自信が持てない場合も、心停止でなかった場合の危害を恐れずに、ただちに胸骨圧迫を開始する。

・ 心停止を疑ったら、救助者は気道確保や人工呼吸より先に胸骨圧迫からCPR を開始する。

・ 質の高い胸骨圧迫を行うことが重要である。胸骨圧迫の部位は胸骨の下半分とし、深さは胸が約5cm 沈むように圧迫するが、6cm を超えないようにする。1 分間あたり100~120 回のテンポで胸骨圧迫を行い、圧迫解除時には完全に胸を元の位置に戻すため、力がかからないようにする。胸骨圧迫の中断を最小にする。

・ 訓練を受けていない救助者は、胸骨圧迫のみのCPR を行う。

・ 救助者が人工呼吸の訓練を受けており、それを行う技術と意思がある場合は、胸骨圧迫と人工呼吸を30:2 の比で行う。とくに小児の心停止では、人工呼吸を組み合わせたCPR を行うことが望ましい。

・ 人工呼吸を2 回行うための胸骨圧迫の中断は10 秒以内とし、胸骨圧迫比率(CPR 時間のうち、実際に胸骨圧迫を行っている時間)をできるだけ大きく、最低でも60%とする。

・ 市民によるAED プログラム普及の重要性が国際的に確認された。AED が到着したら、すみやかに電源を入れて、電極パッドを貼付する。AED の音声メッセージに従ってショックボタンを押し、電気ショックを行った後は直ちに胸骨圧迫を再開する。

・ CPR とAED の使用は、救急隊など、二次救命処置(ALS)を行うことができる救助者に引き継ぐか、呼びかけへの応答、普段通りの呼吸や目的のある仕草が出現するまで繰り返し続ける。」


質の高い胸骨圧迫,早期の除細動は生命を救います.

 谷直樹


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by medical-law | 2015-10-18 23:06 | 医療