大阪高裁平成27年11月25日判決,原判決を破棄しうつぶせ寝で施設の責任を認める(報道)
「大阪市都島区の認可外保育施設「ラッコランド京橋園」(閉鎖)で平成21年、生後4カ月の男児が死亡したのは、うつぶせ寝を放置したのが原因だとして、両親が施設運営会社「エンジェル・ハート」(同区)と市などに約6500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が25日、大阪高裁であった。
林圭介裁判長は「死因はうつぶせ寝による窒息死だった」と認定。施設の責任を認めなかった1審大阪地裁判決を変更し、同社側に約5千万円の賠償を命じた。市への請求は1審同様に棄却した。
男児は同市旭区の棚橋幸誠(こうせい)ちゃん。判決によると21年11月、施設のベッド上で心肺停止となり、搬送先の病院で死亡した。当時は保育士資格のない職員2人だけで園児17人の世話をしていた。
1審判決は、幸誠ちゃんの死因が乳幼児突然死症候群(SIDS)だったとして施設側の過失を否定したが、林裁判長は、幸誠ちゃんがはき出したとみられる液体がマットレスに深く染み込んでいた点を重視。「顔を真下にした状態で鼻や口をふさがれ、窒息死に至ったと推測できる」と述べた。
施設の職員は幸誠ちゃんがよくうつぶせになることを知っていたのに、ベッドに寝かせた後はチェックもせず放置していたと指摘、注意義務違反を認定した。
市の対応については「施設への改善指導を行っていた」と述べ、違法性はないとした。
判決後に取材に応じた母の恵美さん(27)は「幸ちゃんにはもう二度と会えない。心の底からうれしいとは言えないが、保育が良くなる第一歩になればいい」と話した。」
本件は,私が担当した事件ではありません.
乳幼児突然死症候群(SIDS)とALTEは,裁判で免責の理由として用いられることが多く(うつぶせ寝はSIDSのリスクでもあるので,本来免責の理由とするのは安易で,疑問なのですが),1審判決もそのような認定,論理で請求棄却としたようです.
これに対し,大阪高裁が,SIDSを認定せず,注意義務違反と因果関係を認定し,施設の責任を認めたのは,事例判決ではありますが,安易なSIDS認定への警鐘としての意義があると思います.
谷直樹
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